ぼくらの居場所のレビュー・感想・評価
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Spring “H·U·G” come
愛情を感じるビン母子に対し、胸が痛いローラ側の描写を細かく入れ替えて見せる導入。
シルヴィーだけは半歩遅れて出てくる。
中盤にあるローラの過去の挿入の仕方なども含め、やや分かりづらい構成が少し引っ掛かった。
内容としてはドキュメンタリー的で起伏は少ない。
ポスターの3人が揃うのも30分ほど経ってからだし、“出会い”という印象もなく自然にそこに居る。
各々の環境や抱える問題に関しても、説明はない。
しかし察せられる部分だけで、特にローラは見てて辛いものがあった。
一瞬だけ父性が覗いたものの、父は結局ツッパりっぱなしで自滅していくし。
ヒナとのハグでの天使のような笑顔が、父の登場で一瞬にして消えるのがキツい…
(この差が父を追い込んでた面もあるのだろうが)
事故か心中かなどは判然としないが、ローラの死は唐突で、映画ながらかなり喰らった。
ただ、その後がちょっと間延びして感じたので、ジョニーの話は手前に置いた方がよかったかも。
どちらにしても明確に救いのある終わりじゃないし。
ビンやシルヴィーの母にも多少明るい兆しがあったのは嬉しかったが、ビンは転校?
演技に関しては、未経験者たちを起用したとは思えないほど素晴らしい。
特に子供たちは、“大人っぽくならざるを得なかった”面と子供らしさを見事に共存させていた。
感覚としては星4以上を付けたいが、それは実話的に感情移入した面に引っ張られてのもの。
冷静に映画として評価するなら星3.5かな。
でも、子育てや障害他の様々な問題を真摯に描いていて、いい作品だと思います。
社会の「今」を映す『ぼくらの居場所』
物語の前半は、虐待や貧困など、子どもたちを取り巻く過酷な家庭環境を丹念に映し出す。その緊張の糸を張り詰めたまま、後半で訪れるローラの死がその糸を容赦なく断ち切る。
以降、発達障がいやヤングケアラーといった現代日本が抱える社会的課題が、観客に逃げ場を与えないほどのリアリティで提示される。教育・福祉の現場が抱える構造的問題を見せつける、重くも意義深い一本。
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