劇場公開日 2025年11月7日

「無駄のない静かで美しい映画」視える すんこさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 無駄のない静かで美しい映画

2025年11月20日
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鑑賞方法:映画館

「姉の死に疑問を抱く双子の妹」、「目が見えない」というところからスペインのギリェム・モラレス監督「ロスト・アイズ」を思い浮かべながらの鑑賞となりましたが、全く違うタイプの映画で感心してしまいました。
目が不自由なことが足かせになり恐怖を煽ってゆくのかと思いきや、目が見えないことが最強の武器になっていて、静かに淡々と進んで行く。目の見える私が目の見えない主人公に手を引かれて物語のラストまで誘われて行く感じでした。
主人公が力を与えるとんでもなくデカい木の人形が、なぜこんなにも恐ろしい風体なのか、なぜそんなに大きな手をしているのか、それがちゃんと意味を持っていて、ただ観客を驚かせるためでないことにとても気持ち良いものを感じました。
全体的に薄暗い恐怖の中、意外にもクスリと笑ってしまう場面がいくつかあったり、また亡くなったダニーの元夫の恋人ヤナの存在など、人間らしさを感じるところもちゃんと描かれている。
私はこの映画が好き。

すんこ