ナイトコールのレビュー・感想・評価
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Initial
ジャンルミックスなクライムアクションという事で楽しみにしていました。
上映規模がかなり少ないのでなんとか時間を見つけて鑑賞できて良かったです。
めちゃくちゃカッコよかったです。
様々なジャンルが入り乱れながらも破綻する事なく進んでいくストーリーに、ワンカットワンカットがバチっと決まったカッコよさがあり、音楽もキャストの演技も光り輝いていてワクワクしっぱなしでした。
鍵屋の仕事の最中にマフィアの悪事に巻き込まれてしまったマディを中心に話が進んでいきますが、マディが特別な能力を持っているわけではなく、鍵屋ならではの知識だったり、機転を効かせた行動だったりで修羅場を潜り抜けていく様子が従来のクライムアクションとは一線を画すものになっていました。
最初の仕事の様子でマディが慎重な人間ということが伝わってきましたし、入った部屋で見知らぬ男との対峙にも颯爽と対応できる辺りも危機的状況の察知能力が高いなと感心しながら観ていました。
マフィアのボスがロマン・デュリスというところにも驚かされました。
見知った顔がいるなーと思ったらロマンだったので激アツでしたし、優しさを纏いながらも静かな狂気も同時に潜ませていたのでオーラが凄まじかったです。
そこからマフィアの金を盗んだ女探しが始まるのですが、風俗店で色んなプレイ中の部屋をバンバン開けていくのが面白かったですし、全裸の男を地上に叩き落としたりもするのでちょっと面白かったです。
ここではマディのアイデアが光りまくり、逃げおおせることも出来たりとで見せ場たっぷりでした。
今作の見どころのひとつの改札突破RTAがめちゃくちゃ慎重で面白かったです。
自転車でかっ飛ばしていきながらもしっかり段差をバランス崩さずに進んでいき、改札を潜り抜けるスピードも秀逸で、スリルのある絵面でしたが丁寧に描写されていて良かったです。
マフィアとのチェイスも中々に見応えがあり、走って走って走って、エレベーターでの駆け引きもあり、BLMのデモに紛れながら逃げてみたりする中で、とっ捕まった後でもマフィア側の猛攻が止まらないのでスリル満点でした。
マフィアの容赦のなさは身内側にもしっかり降りかかっており、ボスの殺す時の趣味なのかな?と思うぐらい黒ガムテープでグルグル回しての窒息死は簡単に人殺せるじゃんとヒヤッとしました。
ラストシーンだってそのまま普通の生活に戻れば良かったのに、人の良さが出てしまったマディが車をかっ飛ばして助けに向かい、事故りながらも足を引き摺りながらも足を止めない様子は胸熱でした。
最後の一突きが届いたようなラストシーンからのエンドロールも後味スッキリでこれまた良かったです。
シンプルにまとめられながら面白さがずっと持続していて最高でした。
やはり90分映画は至高ですね。
鑑賞日 10/20
鑑賞時間 12:20〜13:58
走らなあかん、夜明けまで
いい話かなぁ?
フィルム・ノワールとは─
深夜の呼び出しには気をつけろ
■ 作品情報
ベルギーのブリュッセルを舞台にしたクライムスリラー。ミヒール・ブランシャール監督初の長編作品。ベルギーのアカデミー賞であるマグリット賞において、作品賞、監督賞、脚本賞など10部門受賞の快挙。監督・脚本: ミヒール・ブランシャール。主要キャスト: ジョナサン・フェルトレ(マディ役)、ナターシャ・クリエフ(クレール役)、ジョナ・ブロケ(テオ役)、ロマン・デュリス(ヤニック役)。製作国: ベルギー・フランス合作。
■ ストーリー
夜間は鍵屋として働く学生のマディは、ある晩、クレールと名乗る女性から部屋の解錠を依頼される。しかし、その部屋はクレールの所有物ではなく、彼女は部屋にあったマフィアのヤニックのバッグを持ち去ってしまう。直後、部屋の真の持ち主が帰宅して揉み合いとなり、マディは相手を殺害し、ヤニックの部下に捕まってしまう。ヤニックはマディを共犯者とみなし、翌朝までにクレールとバッグを見つけ出さなければ命はないと脅す。無実を証明し生き残るため、マディは混乱する夜のブリュッセルを奔走することになる。
■ 感想
最初から最後までスクリーンに釘付けになる、息をのむようなサスペンスです。予期せぬ犯罪に巻き込まれてしまったマディの身に迫る恐怖と、そこから抜け出そうともがく焦りが、手に取るように伝わってきます。一瞬たりとも目が離せない展開に、ずっとドキドキさせられます。
たった一夜の出来事であるにもかかわらず、その極限状況の中でマディが少しずつたくましく、そして強かに変化していく様子が、とても丁寧に描かれています。彼が命の危険を感じながらも事件の真相を追い続ける姿、そして悪党になりきれない人の良さから再び行動を起こす姿は、人としての弱さと強さと葛藤を描いているようです。
また、マディと同様にどん底から這い上がりたいと足掻くテオの存在、彼らの背景にBLM運動のデモが重ねられていることで、物語に深い奥行きが加わっています。人生の苦さ、うまくいかない現実の厳しさが、胸に迫ります。
結末は決して後味の良いものではなく、破滅していくヤニックたちの姿を見てスッキリしたかったという思いも正直あります。しかし、マディの必死の行動が一人の女性の命を守ったという事実は、せめてもの救いであったと感じます。ただ、もとはといえば、全てあの女が原因であることを思うと、やっぱり複雑な思いが残ります。
一夜の事件が描く、ヨーロッパ分断社会の不安と孤独
ベルギーの映画賞マグリット賞で史上最高の10部門でノミネートされたという2025年新作のアクション・スリラーだ。同賞では映画賞、長編映画賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞を受賞しているから、監督の手腕が高く評価されたということだろう。
監督ミッシェル・ブランハートはまだ32歳の若いベルギー人。本作が長編デビューだという。
90分という短めの尺で、テンポよく、ドキドキしながら楽しく観れる。エンターテイメントとして観て損はない、誰がみても楽しめる佳作だと思う。公開館数は少ないけれど、近くでやってるなら自信を持って面白いよ、とお勧めできる。
ただ、よくできたおもろい映画というだけでは、このベルギーでの高評価は説明できないと思う。エンターテイメントでありつつ、現在のベルギーやこの映画の共同制作国フランス(本作はフランス語映画)の社会情勢を物語の背景に巧みに入れ込んだことが評価されているのではないだろうか。
日本人の僕がみると「うん、面白かった!」で終わってしまいかねないのだけれど、ベルギーやフランス、あるいは欧州の観客なら、もっと切実で、強烈な切迫感を感じる映画なのだと思う。つまりアクション・スリラーの形式を借りた社会的リアリズム映画でもあるとして観るといいと思うのだ。
なので、ベルギーという国の状況を映画と絡めて整理してみたい。
この映画は、ベルギーの首都ブリュッセルが舞台。主人公は夜、鍵屋として働く黒人青年(おそらくコンゴ系移民3世)のマディだ。彼が夜、電話で自宅に入れないという女性から鍵を開ける仕事を頼まれたことから、犯罪絡みの陰謀に巻き込まれる。その一晩、夜から朝までのワンナイトの物語だ。
ポイントはその夜、舞台のブリュッセルが大混乱の最中であること。ブラックライブズマター(BLM)のデモで警察側との衝突が起こったのだ。BLMは2013年にアメリカで黒人青年が警察に不当な暴力を受けたとから始まった運動だが、それと同様の出来事があって抗議デモが過激化している夜の出来事だ。
ブリュッセルには随分前2度ほど行ったことがある。ベルギーを目指した訳ではなく、格安航空券のトランジットで短時間そこで過ごしたのだ。ブリュッセルというのは多国籍都市なのだという。EUの本部があることでも有名だけれど、アフリカ、中東、アジアからの移民が多い欧州有数の国際都市なのだそうだ。
ただ街中にいると、それはあまり感じなかった。それはおそらく外国移民やその2世3世の多くが安い労働力でもあり、首都の中心部ではあまり目立たないからかもしれない。
5年ほど前、大規模交通ストライキの最中にパリ郊外の安いホテルに数日間、宿泊したことがある。その時、僕と一緒に夕方、苦労してパリから郊外に帰宅する、あるいは朝パリに通勤する人たちの相当数が、移民、もしくは移民の2世3世と思われる人であることに驚いた。つまり、大都会パリの労働は、生活費の安い郊外に住む移民系の人によって支えられている。
ベルギーやフランスは、帝国主義時代が終わった後の1950年代、60年台に旧植民地から安い労働力として大量の移民を受け入れている。ベルギーの場合はコンゴを植民地にしていたからコンゴ系の2世3世が多くいる。彼らは肌の色でそれとわかりやすい。現在はベルギー国民として同様の権利を保障されているのだけれど、社会の分断構造が根強く、低所得労働者が多いということだ。それが、警察はじめ国家権力や社会構造への不審となり、ベルギーでもBLMが広がるにつながっているようだ。
主人公の青年マディは、ベルギーの一般国民として、昼は学生で、夜は鍵屋として働いている。低所得で二重労働に近い状況であることが暗示されている。ただ、BLMに参加していた訳ではないし、この夜までは強い被差別意識を持っていた訳ではなさそうだ。
マディがこの夜、不運にも事件に巻き込まれて、警察に通報しようとした時に、BLMデモのニュース速報映像を観てしまった。そこでは、警察の鎮圧部隊が自分と同じ移民系住民を激しい暴力で鎮圧していた。
そこで彼は思ってしまったのだ。
「警察が僕を本当に守ってくれるのだろうか?」
「真面目なベルギー国民だけれど、黒人の僕は疑われるのでは?」
映画では描かれないが、マディは成人するまでに、差別されたと感じる経験が何度もあって、ニュースを観て、それが蘇ったのかもしれない。
国家権力を信じられないというのは、どれだけ不安で、自分の存在基盤が揺らぐことかーー。ここに対してどれだけ想像力を働かせられるかどうかで、この映画の切実さは全く変わってしまうのだと思う。
犯罪組織メンバーの背景はあまり明確に描かれないが、ネオナチ的な白人至上主義的な背景のある人物もみて取れる。ここはあんまり深読みすべきではないのかもしれないけれど、中間層の没落によって経済的に苦しむ若者が犯罪組織にいつの間にか巻き込まれた。単なる悪とは言い切れない切実な犯罪であることも見て取れるように感じた。
だからこそ、自分を巻き込んだ相手にも、マディは何か共感か思いやりのようなものを感じているのではないだろうか。「そこは戦わないと」なんてい気持ちでマディの行動にハラハラさせられる場面がいくつかある。その、同じ苦しんで生きているもの同士の共感みたいなものも、日本人の僕にちゃんと想像できているのだろうか、と考えさせられた。
だから、その共感こそが、分断を超える希望でもあるように感じさせるし、ただ同時に、それがワンナイトの幻想でもあることを描いているのかもしれない。
ジャンル映画としてハラハラドキドキ楽しめる映画であると同時に、背景にある欧州の社会情勢への興味も掻き立てられる見事なエンターテイメント作品だ。
欧州の今をちょっと調べてからみてみると、もう一歩深く楽しみ、考えさせられる映画になると思う。
ストーリーは甘々だがけっこう楽しめる
入の鍵開け、優しい?ボス、出来過ぎの裏切りキャッチ、ラスト顛末etc、大甘とも思うけどライトに楽しめるサスペンス◎
少し間抜けなヒール陣は愛嬌あるから緊迫シーンも安心して楽しめる😆軽めの警察やデモの伏線も心地よく、深堀りしてないので好印象
ラストでジュリアは1人列車で無事みたいに描かれるのだけは違和感→絶対犯罪者側も乗ったよね~😆それより鍵屋くんの想いでキレイにまとめたかったのかなぁ
でも天下のブリュッセルで鍵開けがわずか250€、安いな😆
穴の底好き
今年映画が1本しか観られないとしたら、これに賭けよう
深夜のブリュッセル、BLMのデモが一晩中続く街中を、黒人青年マディはいつものようにペトゥラ・クラーク『La Nuit N'en Finit Plus』(夜が終わらない)をかけつつ車を回し、鍵師の仕事に勤しむ。
新たな依頼主は、クレールと名乗る若い女。家主であることを確認できないままドアを解錠したマディに、女は「机の上に身分証を置いた」と言い残し、嫌に大きなゴミ袋を持って階下へ去ってしまう。
部屋に入り机を確認するも、身分証などないじゃないかとぼやくマディ。
と、着信。電話口で女が言う、「早く逃げて、男が戻る前に」
逃げようとするも家主らしき男と鉢合わせてしまったマディは、格闘の末、男を殺してしまう。
落ち着いて証拠隠滅を図るマディだが、そこへ仲間らしき男たちが現れる。
懸命の逃走も空しく拉致されたマディ。着いた先は郊外の廃墟ビル。
暴力的な脅しをせず、軽い笑みすら浮かべながら尋問することが、余計に恐ろしさを醸し出すボスらしき男に、マディは事の経緯を説明する。
ボスは言う。「朝までに女と金が戻らなければ、お前は殺すか刑務所行きだ」
ボスの宣言通り、日が街に昇る頃、映画は決着の時を迎えるだろう・・・。
冒頭、まだ何の事件も起きていないマディの仕事ぶりを描写するシーンにおいて、短くも気持ちの良い編集リズムに乗せられ、観客はここからの90分が実に濃密な活劇的スペクタクルに満ちたものになるはずだと確信する。
BLMのシュプレヒコールを掲げるデモ隊とマディの車が交差するとき、ひょっとして、この社会運動すら作劇の中に有機的に組み込まれるかもしれない、という高望みさえ観客は期待してしまうだろう。
マディが「ママの選曲」と書かれたCDをかけてペトゥラ・クラークが流れるとき、この曲がきっと後にマディの重大な決断を促すだろう、という確かな予感を抱くが、しかし観客はその時の予感をいつの間にか忘れてしまうことだろう。
マディと共にクレールを捜索することになったギャングの二人組が車中で交わす生産性のない言い争いを見て、このギャング集団も一枚岩ではなさそうだ、と抱いた予感は、意外に早く、しかし予想外の形で回収されることになるだろう。
所変わって、ギャングのボスが家族とともに暮らす高層マンションの一室で、電話口の何者かが「気をつけろ、アルバニアの勢力からはお前を助けられない」とボスに忠告するのを目撃する瞬間、観客はこのボスすらもこの映画世界では安泰ではないのだと知り愕然とするとともに、今観ているこの映画は、ひょっとしてこちらが抱いた淡い期待を全て叶えてくれるような、期待するたびに裏切られたことでいつしか、現代映画には期待をかけるだけ損だ、と心を閉ざして劇場に向かうのが常になった、そんな忘失された期待をかけてもそれに応えるだけの度量を持った待望の映画なのかもしれないと、凝り固まった心の武装を解除されてしまうだろう。
そうなのだ、これこそ我々が待ち望んだ現代映画だ。
アラン・ギロディが、パトリシア・マズィが、(ひょっとしてポール・トーマス・アンダーソンが、)裏切ってきた我々の期待は、この映画のためのものだったのだ。
観客に提示する情報の順番を操作することでサスペンスを生み出せ。
伏線は簡潔に張り、観客の予想を一歩超える形で回収しろ。
D・W・グリフィスへの忠誠を誓い、ラスト・ミニッツ・レスキューに力の限りを尽くせ。
映画から取り除いてはいけない部分を取り除いて、それが新しさだと勘違いしている現代の多くの映画作家と評論家を名乗る聴衆に、『ナイトコール』で長編デビューを果たしたミヒール・ブランシャールは徹底的な抗戦を仕掛けた。
彼を援護するために我々ができることは、都内で唯一本作をかけている新宿武蔵野館に駆けつけることしかないのである。
身元の分からない人の鍵開けちゃダメ
たった一晩の出来事で、次々とトラブルに巻き込まれていくテンポの良さと、朝になったら殺されるかもしれないハラハラがすごい。
地下鉄を自転車で疾走するシーンは、『ディーバ』を彷彿とさせるカッコよさ。
主人公が黒人青年で追手が白人ってことで、以前あったBLM運動に絡めたり、鍵屋の特性を活かしたりしてて面白い。パトカーのシーンでは、思わずニヤッとしてしまった。
ラストも、今の社会の特徴を表していて良い。
夜の映画だからブリュッセルの美しい街並みは見えず、夜景は見れるものの、ロケ地がクラブと娼館なのが少々残念。
とても面白かったけど、隣の席の爺さんがトータル1時間くらいイビキかいてて、ちょっとイライラしてしまった。席運が悪かった。
全く期待してなかったが予想外の面白さ。
ついてない鍵屋が犯罪に巻き込まれていく最悪な数日の物語。
フランス語映画だがベルギーのブリュッセルが舞台。このあたりも少しわかりにくかったのだがベルギーは公用語が複数あって国の中でフランス語、ドイツ語、オランダ語園があるらしい。色々不思議だったがこれから勉強したい。今作自体はフランス語がメインだ。
変なドラマ系では無く分かりやすいジェットコースター系映画だった。
ヨーロッパの政治事情に詳しく無いがベルギーでBLM運動が盛り上がっていたその背景が知りたくなった。その辺りで置いてけぼりを食らった。でも色々事情があって主人公が序盤である行動をやめたことがこの映画の一つカギになっているのは見れば大体わかるというか想像力を持てば「彼らの身になって考える」ことができるはずだ。厳しいことを言うと最近日本人は人種差別に対する想像力が乏しい人が多くなってきたから序盤で大体ツッコミを入れたりBLM運動自体を軽視する人もいるに違いない。この辺りがこの映画を楽しめるか楽しめないかの分かれ道だろう。
それにしても全く情報を仕入れずに映画館行ってアルバトロスのロゴが出てきた時はやらかした!と焦った。アルバトロスさんごめんね。笑
どういう流れでこうなったのか知りたい。
内容は全く期待していたなかったがめちゃくちゃ面白かった。恐らくドローンを使ったであろうカーチェイスシーンや自転車で駅内を爆走するシーンなど非常に見応えがあった。突っ込みどころはあるが難しいことは良いじゃないか。
あと女優がとても可愛かった。エンディングもとても好きだった。
アクション
ジェットコースター・ムービー
あっという間の時間でした
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