WEAPONS ウェポンズのレビュー・感想・評価
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新潮流ホラー×多視点パズル、ピタリとはまる快感
ここ10年ほどの米国発ホラー映画にみられる新たな潮流に沿う秀作だ。新潮流の作品群を挙げると、“それ”が追ってくる遅さが斬新な「イット・フォローズ」(2014)、アリ・アスター監督衝撃のデビュー作「ヘレディタリー 継承」(2018)、ジョーダン・ピール監督の「ゲット・アウト」(2017)と「アス」(2019)など。物語類型としては、どこにでもありそうな郊外の町に住む普通の人々が、得体のしれない何かによって日常が変容する出来事に巻き込まれていく。
演出スタイルの面では、前世紀からある強烈なモンスター(巨大生物、凶悪なエイリアン、冷酷な殺人鬼など)による襲撃を突然の大音響も添えてインパクトの強い映像で提示する、テーマパークのお化け屋敷や絶叫マシンのような怖がらせ方とは一線を画す。比較的抑えた演出で、観客の想像と好奇心を刺激しながらじわじわと恐怖をあおっていく傾向が類似し、だからこそ、ここぞという場面でのインパクトが一層効果的になる。
古くは黒澤明監督の「羅生門」、最近では是枝裕和監督「怪物」で採用された多視点でタイムラインを語り直すスタイルも特徴的だ。脚本兼監督のザック・クレッガーによる「WEAPONS ウェポンズ」のストーリー構築術を、こんなふうにたとえることができるだろう。学童の集団失踪、住民の不穏な行動、やがて起こる惨事。これらすべてをもたらす“何か”、いわば諸悪の根源を“軸”とし、ここから生じる渦に巻き込まれた主要キャラクターたちが軸のまわりに貼り合わさって集合体のオブジェになる。クレッガー監督はこれを複数キャラのピースで構成されるパズルに見立てていったんばらし、女教師ジャスティンの視点から順にタイムラインを語ることで、パズルのピースがはまっていくたびに災厄の全貌とその核心が少しずつ立体的に見えてくるよう組み立てた。その緻密な仕掛けは見事と言うしかない。次回作が楽しみな監督がまた一人増えた。
ネタバレを厳守してヒットに繋げて欲しいワーナー映画渾身の1作
民泊を利用した女性がおぞましい事態に巻き込まれていく『バーバリアン』('22年)で知られるザック・クレッガー監督の最新作は、世に出る前から配給会社の間で争奪戦が展開していたという。それが本年度を代表する画期的な異色ホラー映画になると、誰もが確信していたからだ。
結果的に、そうなった。ある朝、とある小学校の教室にいつものように登校してくるべき子供たちが、1人を省いて姿を見せないという、不思議で不気味なオープニングで始まる物語は、担任教師や生徒の保護者たち、幾人かの関係者それぞれの視点を用いて事件の核心に迫っていく。やがて、いったい何が起きたのかが分かるのだが、クレッガーが用いた"羅生門形式"による事実の検証はもちろん、後半詳らかにされる真相が想定外というか、こう来るかというか。ただただ呆気にとられるわけである。アメリカでも日本でも極度にネタバレを警戒している理由が分かるのだ。
書けないことが多すぎること。それが集客に繋がることを期待したい。なぜなら、本作はワーナー・ブラザースジャパンが最後に配給する洋画作品だからだ。ハリウッドメジャーの中でも一際ブランド力が高かったはずの同社が、ラストに持ってきたのがホラーマニアも唖然の1作だったという、映画顔負けの捻りの効いた結末に、静かな喝采を贈りたい!
謎が謎を呼ぶ展開に目を見張る
久々にワクワクしながらスクリーンに魅入った。一晩で17人の生徒が姿を消す。そんな異常事態で始まる本作は、最初の時点で我々に何らジャンルのヒントを与えない。待ち受けるのはスティーヴン・キング的な展開か、それともジョーダン・ピールか。はたまたもっと古典的で寓話的な何かだろうか。街はそれほど大きくない。しかし理由も原因もわからぬ事態に学校は揺れ、親の怒りは頂点に達しており、誰もが平静を保てなくなる中で担任教師をはじめ何人かの視点によるチャプター形式が起動し、謎の着火点への包囲網を狭めていく。時々ゾッとするほどの暴力描写もあるものの、この語りのトーン&観客を置き去りにしない静謐なテンポ感は見事というほかない。そして本作のジャンルが判明すると同時に核心へとなだれこむ後半以降に関しては、いっさいの情報を遮断して臨むのが好ましい。観賞後、余韻冷めやらぬ観客の何人かはきっとあの走り方で劇場を後にするはず。
実話?では無いでしょ。
movie-holicで全米大ヒットと聞けば直ぐ駆けつけるのですが今回は違和感を感じました。最初に"実話に基づく"とあり真摯に観てましたが途中からこんな事が実際あり得ないと、あんな魔法で人を操作したりする人は居ない、ただのホラー映画と思った時かなり落胆しました。
米国では確かに昔、子供が沢山いなくなったり(異常者による事件)宗教が絡んだ集団での死亡など色々ありましたが、その種の話では無い単にフィクションのグロテスクな映画でした。
2017年の「It」のがダントツ面白いです。実話では無いですがその様に思わせしまうし、当時あの話を知った園児がマクドナルドのピエロが怖いと言った位でした。
しかし視点を変えて見れば良く出来た怖いストーリーかな?多くの皆さんも5星つけている位だから、観点変えれば…。それにしても緑の多いあの綺麗な住宅街はいかにも失踪事件にピッタリなロケーション、北東部の州かしら?雰囲気も音楽も当てはまってました。
ホラー映画の傑作です
好きじゃない
チャゲアス・リスペクト??
タイトルがピンとこないからスルーしてたけど、
あまりに評判を聞くので、ふらっと。
結論。面白かった!!!クライマックスで大笑い!!
細かいことを言い出したら、たぶんアラは沢山あるけれど。
シリーズものでもなく、原作ある訳でもなく、の中ではピカイチの面白さ。
何を言ってもネタバレになるだろうけど、
クライマックスではチャゲアスのYAH YAH YAHが脳内で流れてました。
ホラー好き必見
[60代男です]
面白かった。まず良かったのが構成。
終盤で判明する、理解できない奇怪な現象の原因・元凶、それを普通の映画のように最初から出していたら、こんなに面白くならなかった。
学校を舞台にした日本の「怪物」が堅苦しい社会派ドラマなのに、章立てで視点を変えていくことによる効果で娯楽的に面白く観れるように作られていたが、それをホラーに適用したのが本作。
意味が分からない出来事が起こり続けるが、最後は問題の少年の視点になって、すべてが完全に辻褄が合い、すっきりと明白になるのには快感すら感じた。
シリアスで緊張感がみなぎる映像。リアルな演技。
最初はほんと「怪物」みたいな学校教師の話で、あまり面白くもないのだが、視点がどんどん変わって、前の話と符合したり新しい謎が出たり。
このままずっと観ていたかったくらい、時間を忘れて見入った。
気に入らなかったところもあげておくと、ワッと怖いシーンで驚かせて、夢でした、幻覚でした、で片付けるシーンが前半で多用されたこと。後半ではまったくなくなるが、僕はその手のシーンが無意味に感じられて嫌いなので、最初の方はそのためにあまりいい印象ではない。
あと、ホラーとは直接関係ない描写に、すごくリアルさを感じさせるのも良かった。
ホームレスの青年と警察官の一連のやりとりや、その警察官と上司とのやりとりなど、本物っぽかった。
しかし、僕は大学時代に観た「ストリート・オブ・ファイア」が初見だったエイミー・マディガン……時の流れは残酷だね……。
真似したくなるウェポン走り
事の真相自体は案外シンプルでありながら、各種ホラー、オカルトのクラシックな要素を複数散りばめ、キャラクターごとに分けて語ることでキャラ立ちを明確にしながら、どこか笑える要素も入れ込むという唯一無二の映画に仕上がっていて、本当によくできてるし、天才的だと思う。
序盤でグイグイ引きこまれ、中盤でもこの話はどこに行くんだと興味は尽きないし、終盤で真相が明らかになって以降はクライマックスに向かってテンションで押し切る。
不気味な婆さんとか、先生と警官の顛末とか、先生と親の関係性とか、いじめっ子の親の立ち位置とか、警官のバカさ加減とか どこかツインピークスのような語り口で、一見本題に関係ないようで、この映画の面白さの最たる理由になってるきがする。
バーバリアンも好きだったし、次作も超楽しみ。
スチ子
物語の拡大と収束
複数視点から描かれる物語のチャプターが相互に関与し合い最終幕で結実する気持ちの良さとその脚本構成の巧さ。
このような複数視点で構成されるストーリーテリングは「羅生門」を基として主にジャンル・ミステリーにて様々な作品でも適用されてきた。多くは主観の否定(信用できない語り手)及び真相の照合に有効で、一方難点は時系列として物事が進展しないことが挙げられる。今作での真相の追求はあくまでもジャンル・ミステリーの根幹としての機能であって、この多角構成がその補助輪の役割を果たしているかというとそうではない。どちらかといえばパズルのように空白の事実を埋め合わせていくギミック的な面白さがある。
一体このプロットは本筋にそれほど絡むのかというような風呂敷の広げ方も、事実の足し算としてなら飲み込むことができ、また、くれぐれも伏線回収と呼ぶには誤解であるにせよ、こうした試みが物語を飽きさせないギミックとして上手く躍動していることは疑いようもない。
ジャンプスケアは抑えめで個人的には大変ありがたかったのだが、観ている最中は何かの伏線かと思って一度は受け入れた映像的なパワープレイが、終わってみればそれに終始していた点は否めない。がしかし、ホラーを前提とした数々のカットは緊張感を持続させ、2時間超にも及ぶ尺の観賞に堪える仕上がりとなっている。
悪くなかった
面白い…
R18の選定基準
アイデアと語り口とホラーとまさかの笑いと爽快感
本当にウエポンズの意味だった。
そして想像より全然面白かった。こけおどしのホラーかと思ったら事件発生後に何人かの登場人物の事件前、事件後、と時制と角度と語り口をずらしながら、異常事態に至るまでの事象をパズルのように配置させて考察させたりはする。するのだけれど、各パートがまったく弛緩せずにアクションと事件の謎、そして音楽とカメラの力学でグイグイ行って飽きさせない。これは面白いな〜と思ってるとラストシークエンスの予想の更に上をいく面白さと爽快感でやられた〜という感じ。
普通この仕掛けで言うと怪異の中心=謎が見えたところでつまらなくなって収束するしかなくなるんだけどしっかり盛り上げて文字通り走り切っただけでも拍手。
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