「物語の拡大と収束」WEAPONS ウェポンズ クロネコの戯言さんの映画レビュー(感想・評価)
物語の拡大と収束
複数視点から描かれる物語のチャプターが相互に関与し合い最終幕で結実する気持ちの良さとその脚本構成の巧さ。
このような複数視点で構成されるストーリーテリングは「羅生門」を基として主にジャンル・ミステリーにて様々な作品でも適用されてきた。多くは主観の否定(信用できない語り手)及び真相の照合に有効で、一方難点は時系列として物事が進展しないことが挙げられる。今作での真相の追求はあくまでもジャンル・ミステリーの根幹としての機能であって、この多角構成がその補助輪の役割を果たしているかというとそうではない。どちらかといえばパズルのように空白の事実を埋め合わせていくギミック的な面白さがある。
一体このプロットは本筋にそれほど絡むのかというような風呂敷の広げ方も、事実の足し算としてなら飲み込むことができ、また、くれぐれも伏線回収と呼ぶには誤解であるにせよ、こうした試みが物語を飽きさせないギミックとして上手く躍動していることは疑いようもない。
ジャンプスケアは抑えめで個人的には大変ありがたかったのだが、観ている最中は何かの伏線かと思って一度は受け入れた映像的なパワープレイが、終わってみればそれに終始していた点は否めない。がしかし、ホラーを前提とした数々のカットは緊張感を持続させ、2時間超にも及ぶ尺の観賞に堪える仕上がりとなっている。
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