「謎解きを楽しむ映画.....」WEAPONS ウェポンズ レントさんの映画レビュー(感想・評価)
謎解きを楽しむ映画.....
....ではありません。
「小さな町の小学校の同じクラスの17名の子供たちが全く同じ時刻に一斉に突然家から飛び出し行方不明になるという謎から始まる物語」という本作の謳い文句を聞かされると大抵の映画好きはこの映画を見たくなるだろう。
では「少年アレックスの家にある日引き取られた大叔母が実は魔女であり、黒魔術により子供たちを操り、ほかの大人たちをも操って秘かに街を恐怖に陥れる物語」と聞かされてどれだけの人がこの映画を見たいと思うだろうか。
本作は種明かしをすればそういうありふれたオーソドックスなスリラー映画だ。そういう使い古されたストーリーを例えば時間軸をバラバラにして構成を工夫したり、複数の登場人物の視点で各章立てにして見せることでミステリー色を強めたりする手法は今までも多く作られてきた。有名どころではタランティーノの「パルプフィクション」や最近では「ストレンジダーリン」、古典的名作「羅生門」などなど。
一つの出来事を時間軸を変えたり、神の視点を排除して各人物の視点で見せることで観客も当事者とシンクロして一体何が起きてるのかわからずそのミステリーに否応なくひきこまれる。本作もそういう手法でとても食指が動かないような内容の作品を斬新なミステリーに仕上げたかのような作品。
正直鑑賞までが一番楽しめた。確かに異常な事態が街で起きていてそれを当事者目線で見せられるわけだから当事者たちともども何が起きてるのかまるで分らない。伏線があちこちに張りめぐらされてるわけでもないから謎解きを楽しんだり、またそれによりミスリードされて真相が判明するときのどんでん返しを楽しむこともできない。
途中でそういう映画ではないのだと気づいてからは思考を巡らせながら鑑賞するのも止めてしまった。そして真相までがとにかく引っ張りすぎで果たしてこの登場人物目線で各章立てで見せたこの手法が本作でそこまで効果的だったのかさえ疑問に感じるほど。
本作のうたい文句を聞けば誰でも何者かによる洗脳やらマインドコントロールが行われているのだと容易に想像がつく。その首謀者は何者なのか、動機は何なのか、というのが本作で注目される謎なんだろうが、タイトルの「ウェポンズ」から軍による秘密実験はたまた悪魔崇拝者たちによる怪しげな儀式により人々が操られてるのか。軍事利用のための洗脳実験みたいな感じという予想は裏切られた。それ以上にベタなオチ。
本作はまさに後者のパターン。それもまさか魔女による黒魔術というあまりにもベタなアイデア。
このあまりにありふれた真相と真相が判明してからが長くて正直クライマックスは追っかけっことゴア描写以外特に見るものもない映画だった。前作の「バーバリアン」が意外に面白かったので期待しての鑑賞だったけどかなりの期待外れだった。
本作はそのうたい文句で多くの観客を劇場まで引き寄せた、そのマインドコントロールの巧みさがお見事な作品だった。
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