「作り手の誠実さと社会問題に対するメッセージ」WEAPONS ウェポンズ minavoさんの映画レビュー(感想・評価)
作り手の誠実さと社会問題に対するメッセージ
おもしろい映画は、ジャンルを超越してくると思った。小学校のクラスほぼ全員(ひとりを除く)が、ある夜家から飛び出して行方不明になる。
一応、ホラーミステリーなので、おどかしもちょっとしたグロもある。前半のジャンプスケアでは、そこまでびっくりしなかったが、終盤のシーンでは.わあ!と本当に声が出た。
事後の顛末を、担任の先生、父兄、警官、容疑者という感じで、いわゆる羅生門スタイルで描く。その時、別の人は何をしていたか?という感覚。このフォーマットがたまらない。ちょっと前のミサイル飛んでくる映画ではうまくいってるとは思えなかったが、これはバッチリハマってる。
「Dark End of the Street」が、バーのシーンのBGMとして、フル尺で流れる。渋いソウルミュージック。オリジナルはジェームス・カー。本作はパーシー・スレッジのカバー。1991年のダブリンを舞台にしたソウルバンドを描いた「ザ・コミットメンツ」という映画でカバーされて、大学の軽音サークルでちょっとしたブームになっていた。
この映画ではおもしろいだけでは済まない、重要なテーマが忍ばされている。ヒントは最後に死んだこちら側の人間2人と、収束後子どもの声で語られる後日談、エンディングロールの三角形。こんな風にカジュアルなフォーマットで社会問題を描いてみせる才能に感動した。
子どもにはわざと見せないようにしてるが、上記テーマを描くならば、仕方ないと思える。どこまでも作り手の誠実さを感じた。
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