「謎と恐怖と暴力のザック・クレッガー節」WEAPONS ウェポンズ とぽとぽ2(仮)@元アカウント入れるようになるまでさんの映画レビュー(感想・評価)
謎と恐怖と暴力のザック・クレッガー節
郊外✕行方不明✕ヤババア=これは『バーバリアン』とセットで観られるべき精神的姉妹分だ!つまり、ジャンルを横断する構成力とストーリーテリングが武器なザック・クレッガー監督が、恐怖と謎で観客の心に取り憑き巣食うようなホラー映画の新たな巨匠だと証明する2作目の"パラサイト"!!
「△」人間兵器=他者を傷つける目的で、主体性なく言われるがまま猪突猛進で真っ直ぐ衝突(=融通の利かなさ、他人の意見を聞き入れないさま)。曲がることを知らないで、破壊の限りを尽くす意見の対立。固執した頑固なものの見方同士がぶつかり合う危険性や、周囲に与える害。赤と青というモチーフの色は、共和党と民主党。その間で揺れる長閑な郊外とは戦場であり、知らない間に寄生・侵食されるよと。周囲を傷つけることでエネルギー補給するヅラのヤババアは、トランプを重ねているのかなとも思った。サノスの貫禄、我らがジョシュ・ブローリンのグーパンには勝てないけど!
パラサイト=アリの話に象徴される寄生虫に、日常の同じ描写の繰り返し(=安定、平凡、退屈、主体性の無さ)。そして、「知らない」こと。たとえば我が子がいじめっ子だと知らないこと、相手が禁酒していると知らないこと、パートナーの浮気を知らないこと、そして秘密の地下室の存在を知らないこと…。『バーバリアン』に続き物理的にも、低い位置にある隠された秘密(=長閑な表層の下の闇)。色々なテーマを含んでいるだろうけど、そうした信じたものや慣れしたんだものが、いとも容易く崩れるさま・グラつく安定を描いているようだった。
度肝を抜かれた傑作『バーバリアン』に通ずるヤバい構成やバケモノみたいに面白怖いストーリーテリング、そして深いテーマ!ホラー描写(画面の遠くから迫ってくる感じ!!)もグロゴア描写満載も勿論いいのだけど、それ以外の謎の部分で見せるだけの構成力。生き生きとしたキャラクター主体で共感を呼ぶように引っ張るドラマ性というよりは、あくまでテーマが前面に出たような鼻につく説教臭さもありつつ展開で魅せるような。曖昧さを残すようなラストに、結局何を言いたいのか見定めかねている部分もあるけど、全体的にはそういう印象を受けた。
「2:17」に消えた17人の子供。魔女狩りで追い込まれる教師、子を探す親、焦る警官、盗むジャンキー(『ウルフズ』に続きまたもや車に追われて全力ダッシュするオースティン・エイブラムス)、ことなかれマニュアル人間的で規則的に対応する校長、そして大きな秘密を言えないで隠す子ども…。一つの事件を6人それぞれの視点から描く、群像劇ホラー。魔法陣的な三角のモチーフも、悪魔を呼ぶ召喚の三角はもちろん、陰謀論的な文脈では国民同士の相互監視を含む監視国家などを彷彿とさせたし、展開として『シャイニング』も少し彷彿とさせた。
第一感想、巧い。観客を引き込み夢中にさせる方法を心得ている、稀代のストーリーテラーとしての手腕。それと、選曲センス!ジョージ・ハリスンのBeware of Darknessが流れる中で子供たちが走っていくところ最高。ポスタービジュアルにもなっていて本作を象徴するウェポンズ走り、「#ウェポンズ走りしてみた」みたいなハッシュタグで流行らせよう。
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