「オカルトやホラーとしては今一つだが、ミステリーとしては楽しめる」WEAPONS ウェポンズ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
オカルトやホラーとしては今一つだが、ミステリーとしては楽しめる
少女のモノローグによって、小学校のあるクラスの生徒のうち、1人を除いた全員が、夜中に姿を消すという事件が起きたことについて説明される冒頭から、ミステリアスな雰囲気に引き込まれる。
事件の直後を起点とする、同じ時間内の出来事が、相互に関わりのある別々の人物の視点から描かれるという手法には、決して目新しさはないものの、事件の真相が徐々に明らかになっていく展開は面白いし、それなりに「謎解き」も楽しめる。
ただし、クラスの担任教師や、娘が行方不明になった父親のエピソードの中で、ピエロのような「白塗りの人物」が現れるところでは、ジャンプスケアに興醒めしたし、作品の雰囲気が「IT」に似ているせいか、まさか、また、ピエロの呪いなのかと不安になってしまった。
やがて、教師と不倫している警官や、警官が捕まえた泥棒のエピソードになると、行方不明の子供達が、1人だけ行方不明にならなかった少年の家の地下室にいることが分かったり、小学校の校長のエピソードでは、「白塗りの人物」が少年の伯母(を名乗る老婆)で、人々を操る呪術(?)の使い手である彼女こそが、事件の黒幕であることが明らかになるのだが、やけにあっさりと「犯人」が分かってしまう展開には、やや物足りなさを感じたし、オカルトであることを匂わせておいて、実は「魔女」の仕業でしたというカラクリにも、何だか拍子抜けしてしまった。
さらには、行方不明になった子供達が走り去った方角を確認していない警察の無能さも気になったし、警官や、教師と父親が、誰にも連絡せずに、自分達だけで少年の家に乗り込むという無謀な行動も、ホラーの「お約束」とは言え、思慮の足りなさに呆れてしまった。
その一方で、タイトル(WEAPONS)の意味が分かるところでは、「そういうことか」と納得できたし、誰が、どうやって、この魔女を倒すのか、あるいは、冒頭で、この事件が未解決であったと仄めかされていたとおり、結局、魔女は倒せないのかということが気になってくる。
そういう意味で、最後に描かれる少年のエピソードは、事件の発端から結末までが明らかになる「解答編」になっていて、観ていてスッキリすることができたし、「呪術返し」のような方法によって、目標を追尾する誘導兵器(WEAPONS)と化した子供達が、どこまでも魔女を追いかけ回すラストの展開も面白かったと思う。
結局のところ、少年の両親や子供達を使って、魔女が何をやりたかったのか(若返り?)がよく分からなかったり、呪術の解除の方法(枝を水に落とすのか、術をかけた人間が死ぬのか)が理解できなかったというところはあるものの、話の先が気になるミステリーとしては、最後まで、その展開を楽しむことができた。
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