「結末は辛いけど救いがあったと信じたい」ダンサー・イン・ザ・ダーク mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
結末は辛いけど救いがあったと信じたい
全く内容を知らずに観たのですが、あまりに理不尽なストーリーでラストは涙がにじみ出てしまいました。終盤、多少は救いのある結末になるのかと思っていましたが、まさか、最後の最後のシーンまで描写してしまうとは。
主人公のセルマ(ビョーク)の役への入り込みは凄かったです。熱演を超えてました。普通に考えれば、セルマはあまりにも信念を貫こうとするため自分を守ることを知らない人間ですが、ただただ、息子の「目」を守るために、自分の身を削って立ち向かう姿を見ると、これは誰にも止められない「宿命」(約束)のようにも感じました。また、セルマが罪を被る経緯として、彼女のお金を盗んだビルは友達でもあり、彼との「秘密」を口にしなかったことにあります。これがセルマの人間性なんだなと思いました。そう思うと切なさがこみ上げてきます。
セルマの空想部分がミュージカルだから、その時だけは観ている方も救われました。死刑台への107歩もミュージカルでしたが、歩数が近づくたびにドキドキしました。
セルマに最後まで立ちあった看守さん(女性)がセルマに好意的だったこと、セルマを愛する人がいたこと(ジェフが電話でさりげなく{愛してる}とつぶやく)、年上の友達(カトリーヌ・ドヌーブ)がセルマを最後まで心配してくれたこと、これが救いだったかもしれません。息子のジーンは後半は出てこないけど、ジーンの手術が成功したような証(眼鏡)があったことも救い。
余談ですが、この映画を観た時は体調が悪く、「ダンサー・イン・ザ・ダーク」というタイトルと映画のサムネイルで少女が主演の感動ものかなと思って気分を転換しようと観たのですが、ちょっと的外れな観賞になりました。でも、一気に最後まで観てしまいました。そしてこれは忘れられない映画であることは間違いありません。