「アイデンティティの曖昧さに揺れて」雨花蓮歌 ショスタコビッチ三郎太さんの映画レビュー(感想・評価)
アイデンティティの曖昧さに揺れて
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在日韓国人を描いた映画はこれまでも多くあったが、本作が新鮮なのは、「日本人でも韓国人でもない」という曖昧な立ち位置にある人のリアルな感情を描いている点。どちらにも帰属しきれない主人公の姿は、国籍という枠を超えて、自分の居場所を探すすべての人に通じる普遍的なテーマを持っていると感じた。
「どっちつかず」であることへの葛藤や孤独、そしてそれでも人と関わりたいという願いが、派手な演出ではなく静かな眼差しで丁寧に描かれていて、胸に残る。背景の違いが交わりを難しくすること、そして誰もが少なからず抱える“マイノリティな部分”に気づかされる。
決して重苦しいことはなく、余白が観る者に考える時間を与えてくれる。
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