「ハードなのはアソコだけでいいんだよ!」クルージング TK_Filmさんの映画レビュー(感想・評価)
ハードなのはアソコだけでいいんだよ!
宣伝写真とか予告編とかで粗雑な見た目の印象を受けたので不安だったけど、目が離せないくらい良い映像だった。意味はよくわからなかったというか、サスペンスが伝わってこない気がした。確かに当時あまり良く知られてない文化みたいなものが怪しげでハラハラするという考え方はあるだろうけど、それだけじゃつまらないと思う。結局、傍観者の視点ばかりで当事者的な説明も何も無いから、誰にも共感できなくてハラハラもしない。面白かったかもしれない話を遠くから撮ってるだけみたいな感じになってる気がした。
まあ、連続殺人事件とか若い警官の潜入捜査とかの何が興味深いのか、もっと掘り下げてほしかった…と言うと偉そうだけど、仕事だからってホイと知らないセックスクラブとかに行って難しそうな顔してるだけで何事もなく過ごしてる様子が意味不明というか、葛藤とか不都合とか無いの?て思ってしまう。無いなら無いで「不思議だね」みたいな描写を入れて欲しいというか、色々と不可解すぎる。潜入捜査が辛くなってきたというくだりも印象薄すぎるし、大して誰かを騙してもないくせに何が辛いんだよと思ってしまった。てか自分のセクシャリティが揺らいだことが辛い、てことを示唆してる感じだったけど、そういうのは潜入捜査の初期から葛藤を始めるもののような気がするし、終盤にいきなり辛くなるのは意味がわからない。ていうか潜入捜査中に被害者が増えてることについての焦りや罪悪感は無いのか?(笑)
あと殺人事件も犯行も死体も曖昧すぎてあまり怖くない。「自分も殺されたらどうしよう」みたいに不安にさせるようなところが微塵もない。せめて、犯人がとてつもなく優しいけど急に刺すとか、見る人が恥ずかしくなるくらい淫靡なところで刺すとか、複数人とヤッて皆殺しにするとか、バリエーションとか犯行の技巧があれば印象が残るのでは…と腐った妄想しかできませんが、ゲイもハードで警官もハードで何から何までハードボイルドだったら見る人の取り付く島が無いと思いました。