「人生の原点を思い出させてくれる」ひとつの机、ふたつの制服 prishouさんの映画レビュー(感想・評価)
人生の原点を思い出させてくれる
「青春コンプレックス・エンターテイメント」と評される作品を、遠の昔に学生時代を過ごしたいい大人が見て、晴れやかな気持ちになるのは、なぜだろう。
それはきっと、主人公たちが見せる、妬みや憧れ、恋のときめきや親との諍い、それら青春時代の様々な思いが、今も「生きる」ことのベースになっているからではないだろうか。大人になるにつれて、コンプレックスも人付き合いも、親との関係も、心が乱されないようにうまくこなせるようにはなったと思う。けれどもそれは、そんないろいろな感情がなくなったわけではなくて、きっとごまかす術を覚えただけなのだろう。
『ひとつの机、ふたりの制服』では、本当に純粋に、生きるうえでの心の動きが描かれている。なるほど「台湾最大の脚本賞」を受賞したというのも頷ける。
図らずも、ぐんぐん彼女たちの世界に引き込まれて、一緒に泣いたり笑ったりすることができた。それがなんとも気持ち良い。
主人公の小愛(シャオアイ)がようやく勉強に打ち込むようになるのは、同級生との対抗心でも、好きになった人のためでも、ましてや親からの説教のせいでもなく、いろいろなトラブルを経て「自分が今、何をすべきか」ということにたどり着いたからなのだろう。
仕事で成果を出したり、プライベートを充実させたりするのも、やはり「自分」をしっかり見つめることなのだろうな、なんてことまで考えてしまいました。
人生の原点を思い出させてくれる作品です。
それから、キービジュアルの期待どおり、2人の女性は魅力的だったのですけど、貧乏ながら2人の子どもを育てる母親の生き様がかっこ良かったです!
コメントする
