劇場公開日 2025年8月2日

「罪なき女性の尊厳は…」よみがえる声 たま虫さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 罪なき女性の尊厳は…

2025年11月30日
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在日朝鮮人2世である映画作家・朴壽南さんは元々、記者だったが、自らの体験や想いをうまく言葉にできない人々のメッセージを伝える手段として「映像」表現を選んだという。朴さんが魂を込めて記録し続けてきた声なき声を聴けてよかった。
そして、共同監督として、この作品を世に出してくださった娘の朴麻衣さんにも感謝。

この映画で、在日朝鮮人の男子学生・李 珍宇が二人の女性を殺害した小松川事件を初めて知った。李青年が殺人事件を起こすに至った背景に朝鮮人差別問題があったとして彼の減刑を求める動きが起こることは理解できるが、被害者遺族が「日本人は朝鮮人に大きな罪をおかしてきたのだから、娘がこうなったからといって、恨む筋あいはない」というような発言をした点については、どうにも納得がいかなかった。
罪なき女性が凌辱され殺されたのだ。犠牲となった彼女に人権はないのか。せめて遺族は、被害女性の立場に立って犯人と対峙し、若くして命を絶たれた彼女らの無念を晴らし、尊厳を守り続けてあげてほしかった。

ひげしっぽ