「さて、これからどうしようか……」さよならはスローボールで Scottさんの映画レビュー(感想・評価)
さて、これからどうしようか……
草野球をするおじさんたちを淡々と描いただけの映画なの。
試合してる野球場が閉鎖されることが決まってて、最後の試合なんだよ。それを描いてんの。
ただ淡々と描いてるからね。どう観ようが観る方の自由なんだけど。
なんか置いていかれる人たちとか、かえりみられることのない人たちとか、そういう人たちの話として観たな。この人たちはトランプに投票するだろうなとか思ったの。
野球場閉鎖して中学校ができるんだよね。いまは遠くにしか中学校ないんだって。
この設定がうまいんだよ。
誰でも普通に考えて、草野球しかやってない野球場残すより、中学校つくる方がいいんだよ。文句言えない。草野球やってるおじさんたち自身も文句言えないことは知ってんの。
でもそこが、かけがえなく大事な人たちだっているんだよ。超少数だろうけど。
その人たちのことは誰か考えてくれんのかっていう。
まあ、考えないんだよ。考えてもらえないことはおじさんたちも知ってる。
どうも一方のチームの監督だかキャプテンだかの人が、中学校建てようって言っちゃったみたいなんだね。だからみんな「裏切り者が」みたいなこと言っちゃうんだけど、そう言うのは理不尽だって知ってんだけど言わずにいられないの。
この監督だかキャプテンだけが、バリッとしてんの。野球場なくなっても、仕事でバリッとやんだろうなって感じなの。居場所があるんだよ。
あとは米国の野球文化みないなのいいなと思った。
野球選手の名言をひいてくるんだけど、それがカッコいいの。
日本だと「永遠に不滅です」ぐらいから、名言がなくなっちゃてる気がするのね。知らないだけかも知れないけど。ちょっと文化の点で、米国にはかなわない。
娘さんが Take Me Out To The Ball Game 歌うけど、いいね。歌詞を始めて真剣に観た。
これ、なんとなく観てたけど、七回だから歌ったんだね。そういうところもいい。
それで原題が《EEPHUS》なんだけど、山なりのボールをこう言うんだね。
水島新司が超遅球を武器にするピッチャーの話を描いてたことあったけど、こんな感じなのか。
このEEPHUSの感じが、作品の感じに合ってて良かったな。
最初と最後に引用されるのがルー・ゲーリッグのLuckiest Man Speechなんだね。
スコアブックをつけてるお爺さんが真似するんだけど、最後に「さて、これからどうしようか……」みたいなこと言うよね。
野球がある間はLuckiest Manなんだけど、それが終わってしまうと途方に暮れるしかない。
そういうことを観ていて思ったな。
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