「親友と迎える人生の終章」最後のピクニック おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
親友と迎える人生の終章
■ 作品情報
監督:キム・ヨンギュン。脚本:チョ・ヒョンミ。主要キャスト:ナ・ムニ、キム・ヨンオク、パク・クニョン。製作国:韓国。
■ ストーリー
大都会ソウルで一人暮らしをしているウンシムのもとに、突然親友グムスンが訪れる。これを機に、ウンシムは60年ぶりに故郷の海沿いの町・南海へ帰郷する。そこでグムスンのもとに身を寄せ、かつてウンシムに思いを寄せていたテホも交え、青春時代の思い出を懐かしむ日々を送る。しかし、ウンシムが長年故郷を離れていた理由や、それぞれの波乱に満ちた人生が明らかになっていく。互いの“今の真実”を知ったウンシムとグムスンは、美しい花が咲き誇る草原へ最後のピクニックに出かけ、生まれ変わってもまた友達になることを誓う。
■ 感想
人生の終わりをどう締めくくるのか、何をもって良し悪しとするのか。本作は、そんな根源的な問いを観る者に深く投げかけてくるようです。
60年ぶりに故郷に戻ったウンシムと親友グムスン、そしてかつてウンシムに思いを寄せていたテホとの再会。彼女らがこれまで歩んできた人生、我が子との確執、故郷の人々との温かい交流を通して、自らの生き方を見つめ直していく姿が胸に迫ります。自分の人生を精いっぱい生きてきたと心から思いたい、そしてそれを誰かに認めてほしいという切なる願いは、きっと多くの人が共感するのではないでしょうか。そんな時に、隣に親友がいることの尊さ、二人の絆の深さが本当に羨ましく、幸せな光景に映ります。
主演のお二人の演技は本当にすばらしく、登場人物たちの人生の重みや感情の機微を繊細に表現しています。特に終盤、物語が一気に盛り上がり、胸に迫る展開を見せる時には、涙腺が緩むのを抑えられません。
しかし、それまでの道のりは、やや散漫に感じられます。個々のエピソードやキャラクターは魅力的なのに、ちょっと盛り込みすぎて、それらが全体のテーマを盛り上げるための相乗効果を十分に生み出せていないように見えてしまうのが惜しまれます。
ラストシーンについても、決してダメというわけではなく、観る者に想像の余地を残しているとは思いますが、個人的な好みとしては、もう少し希望のもてる締めくくりがよかったです。厳しい現実を描きながらも、どこかに光を見出せるような終わり方であれば、より心に残ったかもしれません。
とはいえ、観終わった後には、自分の家族との向き合い方、そしてこれからの人生をどう生きるべきかについて、深く考えさせられる作品であったと感じます。
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