「【今作は、年を重ねる事を美化せずに、身体の衰え、都市と地方格差、遺産問題を絡めながら、幼馴染の二人の女性の久しぶりの交流を描いた作品。ラストショットの解釈は観客に委ねられます。】」最後のピクニック NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【今作は、年を重ねる事を美化せずに、身体の衰え、都市と地方格差、遺産問題を絡めながら、幼馴染の二人の女性の久しぶりの交流を描いた作品。ラストショットの解釈は観客に委ねられます。】
■韓国、ソウルで一人暮らしをするウンシム(ナ・シム)は、息子が食用オイル不正を働き、自身の遺産を頼って来た事で、中学生以来に海辺の故郷の戻り、親友のグムスン(キム・ヨンオク)の家に身を寄せる。
そこで、且つて彼女に恋していたテホ(パク・クニョン)と再会し、彼が作るマッコリを呑みながら昔話にふけるのであった。
3人は夫々の今までの生き方を語り合うが、或る日脳に腫瘍があったテホが急死してしまう。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・前半は、少し重いトーンで物語は進む。ウンシムの息子は食用オイル不正を働き、彼女の遺産を確かめに実家に戻り、嫁は娘をカナダに留学させる事のみ考えている。韓国は、ご存じの通り、ソウル大、高麗大、延世大に入れるかどうかで、将来が決まると言っても過言ではないからである。
・故に、足の悪いグムスンの息子は”一生、マンションには住めない。”と暗い表情を浮かべ、日々過ごしている。
そうかなあ。日本の田舎では、一軒家で庭が有って、四季の野菜が取れてそれを食べる生活も、豊かだと思うのだがなあ。
・老人ホームに入所し、暴れるので紐に縛られて、生きた屍の様に生きる3人の同級生のシーンや、グムスンの背骨の骨粗鬆症が進行して粗相をしてしまうシーンや、ウンシムがパーキンソン病に悩まされているシーンも今作では、正面から描かれている。
・そして、ウンシムは自分の遺産を息子ではなく、息子の嫁と娘に相続させるのである。
<二人は、キンパを作り、眺めの良いところでピクニックの様に食事を摂り、笑顔で断崖絶壁の上で笑顔を見せるのである。
今作は、年を重ねる事を美化せずに、身体の衰え、都市と地方格差、遺産問題を絡めながら、幼馴染の二人の女性の久しぶりの交流を描いた作品である。ラストショットの解釈は観客に委ねられます。>
