「HAVE A NICE DAY」ハウス・オブ・ダイナマイト とぽとぽ2(仮)@元アカウント入れるようになるまでさんの映画レビュー(感想・評価)
HAVE A NICE DAY
ビグローが描く現代のミサイル危機。今の地球の状況とは、今にも壁が壊れそうなほど爆薬がいっぱい詰まった家。世界を何度も終わらせられるほどの核兵器を、各国が競い合うように保有している"異常な現実"
今世紀に入ってから(『デトロイト』の人種差別政策含めて)戦争を描き続ける硬派な社会派監督キャスリン・ビグローの骨太な作風が、本作でも大いに生かされていた一貫した作家主義。実話モノも手がけてきただけあって、様々な視点からアンサンブルキャストが生きた心地のしない19分間を繰り返す、この同時系列多視点モノ(羅生門方式)な群像劇ポリティカルサスペンスでも見事な手腕を発揮していた。
「傾斜が水平に」
モーニングブック(朝の報告書)からブラックブック(核の手順書)へ。その後の一分一秒を争う緊急事態での混乱との振り幅を効果的に描く束の間の平和パートから、ドキュメンタリータッチなハンディによる手ブレ撮影など、ポール・グリーングラス監督作品も少し彷彿とさせるような語り口で手に汗握る。胃がキリキリと神経のすり減るような観賞体験を約束してくれる。
【デフコン2】「弾丸で弾丸を撃つ」
そりゃ自分の家族が気になるよね。混乱具合はわかるけど、緊急事態庁のメインキャラが時間無い緊急事態下にもかかわらず危機管理室側に食いかかっては、自分の仕事も避難させるべき対象である「議員たちがいい顔しない」ってすぐに折れて、無理だったことを報告しているだけに見えた。挙句COG(Continuity of Government)だから、それは仕方ないのだけど、本作のキャラクターで一番要らないムーブをして邪魔しているようで、イラっときた。
【デフコン1】「弾薬が詰まった家」
エルバの大統領役は必然、無論似合いすぎ。そして最後は観る者に委ねられている決断…。
