「iPhoneの着信音が、人を繋ぐ」ハウス・オブ・ダイナマイト Jetさんの映画レビュー(感想・評価)
iPhoneの着信音が、人を繋ぐ
『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督が、突如米国に向けて発射された核ミサイルが着弾するまでの20分間を描くスリラー。一見陳腐にも思えるそんなテーマが、ゲティスバーグの再現イベントや、アフリカで象の保護活動に勤しむ大統領夫人、そして年老いた猟師の仕草を挟んで印象的に描かれる。
なんか80年代的なテーマだなあ、と思って観たら、もう開始10分から動けない。着弾(?)までの情景を、政府の危機管理室、戦略軍の現場、大統領含めたホワイトハウスの3つの視点で時間を巻き戻しながら描く、落ち着いた描写と心のパニックの共存がすごく味わい深い。
個人的にこの映画で印象深いのは、iPhoneのクラシック着信音「オープニング」だ。緊迫する最中、それぞれのスマホからこの音が鳴る時、それは個人のつながりを示す。家族、妻、恋人と繋がるこの音が、極限状況の中で人間の本質を差し込んでくる。
「もうこの国は終わりだ」「自分は死ぬのだ」と思った時、最後に電話するのは誰か?何を最後に言いたいのか?
まあみんなそうなるよね、って思いつつ、やっぱり切ない。
絶対見た方がいい作品なんだけど、結局ミサイルの発射元が例のあの国っていうのが、東アジアの住人としては苦笑なのですけどね。映画は世に連れ、世は映画に連れ。
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