「61%の確率で保っている世界の均衡」ハウス・オブ・ダイナマイト bunmei21さんの映画レビュー(感想・評価)
61%の確率で保っている世界の均衡
Netflixで、先日配信が始まり、一部劇場公開もされた、核爆弾発射に伴う、社会派のサスペンス。最近は、ロシアのウクライナ侵攻、ガザ地区とパレスチナの戦闘と、きな臭いニュースが毎日の様に、メディアで報道されている。そんな世界情勢の中での本作。決してフィクションではなく、いつか近い将来、核ミサイル発射の秒読みが来るのかもしれない怖さを感じた。
本作では、ミサイル着弾が確定してから19分間という短い時間の中を、3つの章で描いている。第1章では、国防の最前線で指令を出す人々、2章では、国家防衛式センターでの、軍のトップの官僚たち姿を、そして、第3章では状況を総括しながら最後の決断に迫られる大統領と、国防に関わる3つ立場の人々の苦悩と葛藤、恐怖そして絶望が映し出されていく。着弾の危機迫る中、秒読みでの指示や対応、言動について、緊迫感と緊張感のあるシーンが続き、女性で初のアカデミー賞受賞監督のキャスリン・ピグローが、見事に描き切った。
いつもの日常時間が過ぎるはずだったある日。突然、出所不明の核爆弾搭載のミサイルが発射された。最初は、いつもの北朝鮮辺りのミサイル発射実験と構えていたアメリカだったが、ミサイルの方向が、いつもの実験コースから外れ、アメリカ本土に着弾する可能性か高まる。どこか何の目的に発射したのか、全く情報が掴めない中、着弾場所がシカゴと断定され、アメリカ政府、国防組織は混乱に陥る。
タイムリミットが迫る中、アメリカは、迎撃ミサイルを発射した。しかし、確実と思われていた迎撃ミサイルが失敗に終わり、核ミサイルはシカゴへ向かって飛び続ける。手の打ちようがなくなる中、アメリカ国防総長が下して、大統領命令の指示を仰いだ方法とはいったい…。この中で、迎撃ミサイルの的確率は61%という低さには驚かされた。ある意味、現在の世界情勢は、この61%を頼りに均衡を保っているということだ。
出演者もなかなか豪華。大統領にはイドリス・エバンス、軍の大差にはレベッカ・ファーガソン、国防長官にはジャレッド・ハリス、大将にはトレイシー・レッツ、また、迎撃失敗の責任を感じる少佐にはアンソニー・ラモス等、他にも多くの俳優が集結して、個性豊かな俳優陣が、タイムリミットに向けての緊迫感迫る演技を見せている。
共感ありがとうございました。
鳴り物入りで導入された迎撃ミサイルが銃弾を銃弾で当てるような確率しかないとは……アメリカの押し売り?で購入配備した国々は………


