「地球と言う“核”家族」ハウス・オブ・ダイナマイト だいさんの映画レビュー(感想・評価)
地球と言う“核”家族
この映画は、日本人であるならば、唯一の被爆国であり非核保有を宣言している国の国民であるならば絶対に見なければならない傑作
いわゆるシチュエーションスリラーと言うジャンルの本作は、限りなく現実的な物語展開でありながら、フィクションをいい塩梅に溶け込ませた物語になっている
現実的な作品によくありがちな“説明臭さ”や“ダレ”が少なく、常に現場の臨場感を伝えてくれる構成になっているため、2時間があっという間だった
話しの構成としては、海洋上から発射されたICBMミサイルがアメリカに着弾するまでの18分間という同一の時間軸を[3パート]に分けて6箇所からの視点で紡ぐ
それぞれ立場の違う主要人物たちが、未曾有の事態に直面し、奮闘し、絶望する
特に自分は国防長官パートが好きだ
国防の要であり超重要人物でありながら、一人の親としての葛藤、仕事の責務がせめぎ合い、作中で一番人間的な部分を見せる
彼のパートは3話目なので、その3話目を見てから再び他パートを見ると、会議中の“違和感”に納得できてしまう
ここ最近の日本映画で例えると、シン・ゴジラからゴジラ要素を抜き、攻めてくる敵がどこかの“国”になった映画
と言うのが一番しっくり来た
核を持つ国を攻める馬鹿はいない
作中でも似たような台詞があるが、それは前提であり建前でありあくまで空論だ
どこかの馬鹿が、自爆覚悟でアメリカに報復したら
もしその“馬鹿げた”事態に直面した場合、アメリカという国がどう動くか。それをリアルに、人間味を醸し出しつつフィクションを織り交ぜた映像作りには脱帽した
作中では一切、爆弾も爆発しなければ銃も発砲されない
カースタントも無ければ感動的な再会もない
だが、下手なアクション映画よりも緊張感と緊迫感の演出はうまい
見終わって思わずため息をついてしまうほどに
最近の世界情勢的にも、知っておいて損は無い知識を得られるので、粗筋を見て気になった人は絶対見たほうが良い
そうなんですよね、明らかに国防長官のパートはおかしい。
そして、ヒトとして、彼のようなことはありがちだと思いました。
さすがキャスリン・ビグロー!という映画だったと思います。

