「画面を三分割にして、3つの章を同時に再生させてみたいですね(著作権侵害になるからしたらダメよ)」ハウス・オブ・ダイナマイト Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
画面を三分割にして、3つの章を同時に再生させてみたいですね(著作権侵害になるからしたらダメよ)
2025.10.16 字幕 アップリンク京都
2025年のアメリカ映画(112分、G)
ある地点から発射されたICBMに対応するアメリカを3つの視点で描いたスリラー映画
監督はキャスリン・ビグロー
脚本はノア・オッペンハイマー
物語は、3つの章によって構成されている
第1章は「INCLINATION IS FLAT」で、第49ミサイル防衛基地にて、ダニエル・ゴンザレス(アンソニー・ラモス)率いる部隊が「日本海付近から発射された飛翔体」に対して、迎撃体制に入る様子が描かれていく
その情報は、WHSR(ホワイトハウス・シミュレーションルーム)に届き、オリヴィア少佐(レベッカ・ファーガソン)を中心としたチームが情報収集を行なっていく
第2章は「HITTING A BULLET WITH BULETT」で、南北戦争の再現イベントに参加していたNSA職員アリ・パーク(グレタ・リー)のもとに、同僚のジェイク(ガブリエル・パッソ)から連絡が入り、北朝鮮が撃った可能性についての確認などが入る様子が描かれていく
さらに、迎撃失敗を受けて、ブレイディ将軍(トレイシー・レッツ)率いる戦略軍の「次の一手」というものが進言されていく
第3章は「A HOUSE FILLED WITH DYNAMAITE」で、大統領(イドリス・エルバ)のもとに情報が集まり、着弾阻止失敗を受けての「報復に対する決断」というものが描かれていた
ほぼ同じ尺を使って、3つの視点をリアルタイムで描いている作品となっていて、「画面を三分割にして同時に観たい」と思ってしまう作品だった
多少のズレが出るのでアレだと思うけど、それができそうなほどに緻密なシナリオになっていたと思う
うとうとしてしまうと「第2章」が「二発目のミサイル」と誤認してしまいそうで、「CHAPTER」表記がないので3章立てになっているかどうかも分かりにくい
個々の役職の字幕表記はないものの、どの部署や組織が絡んでくるのかは描かれているので、そこまで混乱することはないと思う
情報収集を行うWHSR、政府存続のために動くFEMA、報復に対するアドバイスをするNSA、報復を辞さないSTRATOMが中心となっていて、そこに最前線である「第49ミサイル迎撃基地」が登場し、そこのコントロールによって、GBIがSBX PRDARから発射されている
ビデオ会議には、大統領とベイカー国防長官(ジャレッド・ハリス)が不在で、その他にはSTRATOMのブレイディ将軍(トレイシー・レッツ)やINDOPACM(インド洋)、USFK(在韓米軍)、NORTHCOM(北太平洋)、CJCS
統合幕僚長)などが登場していた
大統領と連絡が繋がらない間には、NORTHCOMの権限で第49ミサイル防衛基地に指令が送られてGBIが発射されていたが、大統領が捕まった頃には迎撃が失敗している状態だったりする
そこから、報復と冷静の応酬になっていて、大統領が板挟みになっていて、夫人に助けを求めていたりした
映画では、最終的にどうしたかまでは描かないのだが、音を聞いていると「何かしらの音」というものがエンドロールで流れているのが聞こえる
その音は「シカゴに着弾した音」にも聞こえるし、「報復攻撃のミサイルが発射された音」にも聞こえてくる
映画は、アメリカに有事が起こった時にどのような対応をするのか、を描いていて、実際との乖離に関してはわからない
だが、迎撃に時間を要するとか、2発目を撃たずに諦めるとか、報復の決断に至るまでの時間も「悠長なことをしているな」と思えてしまう
このあたりの演出に意図があるとするならば、「トランプ大統領、まさかこんなグダグダなことにはならないですよね?」と訊いているように思える
戦争映画だと「間違ってもいいからとりあえず北朝鮮を滅亡させる」ように思うし、わからないので「可能性のあるところに全部撃つ」みたいなことをしそうに思う
だが、実際には「報復相手が不明瞭な中で、メンツだけで報復するのはいかがなものか」というスタンスになっていた
それをアメリカ国民がどう感じるかはわからないが、映画の中に登場する米軍というのはかなり印象操作されているように見えてくる
なので、実際に起こると、ほとんど何もできないまま終わってしまうのかな、と思った
いずれにせよ、かなり人間関係と職域に関する知識が必要な作品で、一応第1章で全体像が説明されるので飲み込みやすいと思う
それよりも「実は3章構成で、同じ時間を別視点で描いています」とわかることの方が難しく、第2章の途中くらいまでは「あれ? いつの間に着弾して、2発目が来ているの?」みたいに混乱してしまうかもしれない
なので、ぼうっと観ていると混乱してしまうので、集中して鑑賞できる環境の方が良いのではないか、と思った
ネトフリ映画なのでパンフレットもなく、ネトフリの先行上映なので本国のレビュー情報もほとんどない
配信が始まれば一気に情報は加速度的に増えるので理解は進むと思うが、劇場鑑賞だけで理解するのはかなりハードルが高い映画だった
ある程度まとめてみたものの、間違っていたらごめんなさいレベルなので、鵜呑みにして拡散するのだけはやめてほしいとだけは付け加えておく
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