「後の祭り」ハウス・オブ・ダイナマイト regencyさんの映画レビュー(感想・評価)
後の祭り
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何の前触れもなく突如、アメリカ目がけて出所不明の核ミサイルが発射。一体誰が、そしてどこから放たれたのか――
『ハート・ロッカー』、『ゼロ・ダーク・サーティ』、『デトロイト』と、フィルモグラフィに母国アメリカを憂う骨太な作品が並ぶキャスリン・ビグローが、ある意味で本丸ともいえる核兵器の脅威に斬り込んだ。着弾まで数分間しかないというリミットの間、ホワイトハウスをはじめとする政府や市井の人々の動きを、イドリス・エルバ、レベッカ・ファーガソン、ジャレッド・ハリス、ジェイソン・クラークなど錚々たるキャスト陣を揃え、章立てた群像劇で見せる構成。最初こそ「何かの間違いだろう」と楽観視していた要人達が、本当に発射されたと気づき次第に慌てふためく様に戦慄が走る。
ビグローは、観る者に何かしらの問題を提起し、観る者に「どうすればいいのか、どうしたら良かったのか」と自答させるのが作風だと思うが、本作はそれが一番色濃く出たのではないだろうか。正直言って観終わった後は投げっぱなし感が半端なかったが、いざ発射されたところでうろたえても後の祭りだよ…という警告なのか。アフリカ系のエルバを米大統領役に据えたのは、現職の大統領が白人なのを鑑みた故の配役なのかなと邪推。
とにかくまぁ、こんなセンシティブなテーマの作品はNetflixだからこそ実現できたといえるかも。
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