「ケンカを通した語り合いをもっと感じさせてほしかった」WIND BREAKER ウィンドブレイカー おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
ケンカを通した語り合いをもっと感じさせてほしかった
■ 作品情報
監督: 萩原健太郎。脚本: 政池洋佑。主要キャスト: 水上恒司(桜遥)、木戸大聖(楡井秋彦)、八木莉可子(橘ことは)、綱啓永(蘇枋隼飛)、JUNON(杉下京太郎)、中沢元紀(柊登馬)、上杉柊平(梅宮一)、山下幸輝(兎耳山丁子)、濱尾ノリタカ(十亀条)など。
■ ストーリー
ケンカ最強の超不良校として知られる風鈴高校のてっぺんを獲るため、街の外からやってきた孤独な高校生・桜遥。しかし、彼が足を踏み入れた現在の風鈴高校は、トップである梅宮一の下、彼を崇拝する杉下京太郎、冷静沈着な拳法の使い手である蘇枋隼飛、情報収集に長けた楡井秋彦らが「防風鈴(ボウフウリン)」と名乗り、街を守る集団へと変貌していた。桜は、仲間たちと出会い、彼らとの絆を深める中で、自身の強さの意味や生き方を見つめ直していく。また、隣町の武闘派チーム「獅子頭連」との抗争も勃発し、「防風鈴」は街の安全をかけて彼らと激しいタイマン勝負を繰り広げることになる。
■ 感想
原作未読ながら、アニメ化されるほどの人気作だと知り、期待して公開初日に鑑賞してきました。本作は、不良と見なされがちな若者たちがケンカを通して成長し、仲間との絆を深めていくという物語です。不良モノとしては鉄板展開ではあるものの、不良の巣窟と思われていた高校の生徒たちが、実は街を守る存在であるという設定がちょっと新鮮です。
物語の中心として、主人公である桜遥がケンカしか取り柄がなかった自分を変えていく姿が、爽やかに描かれています。一方で、ライバルチーム獅子頭連の頭取である兎耳山の抱える孤独や、ケンカの先に求めるものが見つからずにもがく姿もまた、物語に深みを与えています。そして、彼ら二人に気づきを与え、強い影響力を持つ防風鈴の総代・梅宮の存在が、物語の構図をわかりやすく、かつ魅力的にしていると感じます。
その重要な要素であるケンカシーンは何度も描かれますが、特にクライマックスの大乱闘は見応えがあります。激しいアクションはもちろん、拳での語り合いを感じさせようという演出にこだわりを感じます。
ただ、全体を通して、なかなか作品世界に没入しきれなかったです。登場人物たちの多くが、どこかキャラクターを作りすぎているように感じられ、感情移入が難しい場面がいくつかあったように思います。
また、この手の作品では定番とも言える「ケンカを通して語り合う」という演出は、それはそれで悪くはないのですが、今回は少し説明的すぎて、心の奥底まで響いてくる感覚には至らなかったです。結果として、決してつまらない作品ではなかったものの、事前の期待には一歩及ばなかったかな、というのが正直な感想です。原作のイメージや魅力がどこまで再現されているかわかりませんが、興味をもたれた方はご覧になってもいいかもしれません。
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