劇場公開日 2025年8月16日

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「見事な取材と構成。」豹変と沈黙 日記でたどる沖縄戦への道 羅生門さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 見事な取材と構成。

2025年8月21日
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鑑賞方法:映画館

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しっかりとした取材に裏打ちされた構成に興味深く見せていただいた。日記のリアリティが重くのしかかる。ただ、職業軍人ではない皆さんが、どのようなモチベーションで事変に参画したのかをもっと伝えて欲しかった。国民党と共産党が内戦を行っている中、都市部をのぞき込む「国民国家」意識のない農民が大半の大陸で、上海事変から南京攻略に向かった兵隊さんたちはどのような気分だったのか?便衣兵と間違えられた庶民に対してどういった意識で手を下していたのか?非戦闘員の庶民を虐殺する辛さは何となく理解出来たが。1つ残念なのは沖縄での慰安婦のインタビューで、「『慰安婦』にされた女性」とのテロップがあったが、ここはもう少し丁寧に表記すべきだった。本人の意志に反して「慰安婦」になったのかも知れないが、あの表記では、いわゆる軍による「強制連行」によって「された」ように解釈されそうで心配だ。悪徳業者による可能性もあり、経済的窮地による本人の選択だった可能性もある。あそこは「『慰安所』で働いていた女性」としておいて欲しかった。

羅生門