「正気に効く薬なし」テレビの中に入りたい 未夕さんの映画レビュー(感想・評価)
正気に効く薬なし
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厳格な父の下で育った気弱な主人公と、複雑な家庭で暴力に苦しみテレビを心の支えに生きる少女が、年を重ねるにつれてテレビドラマの世界と不満足な現実の境を見失っていく話。
マディは現実の退屈と苦痛に耐えかねて、自分こそが最終回で封印された憧れのキャラクターであると信じ込むが、主人公は彼女の狂気についていけずに、あるいは真実を受け止めきれずに彼女を拒絶してしまう。
実際、主人公が封印されたイザベルの真夜中の国での姿だと仮定すると、Mr.メランコリーなる父親がピンク・オペーク鑑賞を妨害していたことにも納得がいく。マディの正気と狂気、両方信じられるとしたら心躍る方で解釈する。
というわけで、主人公は真実の出来事を幻覚や狂気的な想像だと信じ込んでしまったから、無理矢理詰め込む薬の副作用でどんどん痩せ細り、病的になり、いよいよ精神に異常をきたしたんだとすると面白い。
子供の頃に熱狂したものが記憶よりずっとつまらなかった時の絶望は真理だ。
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