劇場公開日 2025年10月3日

「現代社会への静かな反抗」ワン・バトル・アフター・アナザー hayassyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 現代社会への静かな反抗

2025年10月27日
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鑑賞方法:映画館

『ワン・バトル・アフター・アナザー』は、革命運動と現代社会の対立を軸に、個人と国家、理想と現実の狭間で揺れる人間の姿を鋭く描いた社会派ドラマである。かつて革命に身を投じた男が、成長した娘との断絶を埋めるために再び闘争の只中へと戻る。その物語は、政治的闘争の外側にある、父と娘という家族の絆の再生のドラマとしても深い余韻を残す。

本作が興味深いのは、革命の精神が世代を超えて受け継がれる過程を通じて、理想主義の限界と現代社会のシステム的暴力を対比している点だ。監視社会の中で薄れていく“個”の意志、そして体制に組み込まれることで失われる“闘う理由”を、登場人物たちの葛藤を通じて浮き彫りにする。

さらに、舞台となる現代アメリカの政治的現実(中絶法や社会的分断といった問題群)が、物語全体に風刺的な陰影を与えている。理想と暴力、親子の愛と政治的信念が交錯するその構造は、単なる社会派映画の枠を超え、「革命とは何か」「家族とは何か」という根源的な問いを観る者に突きつける。

hayassy
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