「ロードムービーである、と思う」マルティネス あんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
ロードムービーである、と思う
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不思議な味わいのある作品である。このサイトの解説にある通りコロナがなければ生まれなかった作品なのかもしれない。
吉田大八の「敵」を思い出した。妄想に囚われる独居老人の話というところは同じ。ただ「敵」の老教授が対峙する相手が敵=死であるのに対し、60歳でしかないマルティネスには死はまだまだ遠い。妄想上のアマリアとの恋を通して、彼は若さや活力を取り戻して、どうしようもない同僚たち、パブロやコンチタを相手にしてやる優しさや余裕も生まれてくるのである。
しかしこの作品では最後にどんでん返しがある。パブロが自分がつけた評価のために失職することとなり、それをきっかけとしてマルティネスはアマリアへの妄想を捨て、そしてそれまでの自分の生活や習慣にも別れを告げて旅に出るのである。
つまりこの一連の経験を経て、彼が得たものは精神の自由さ、しなやかさだったということになる。そして、この先のマルティネスの人生はどうなるかは分からないけど、これからは彼は何ものにも囚われず自由に生きることが想定できる。その意味ではこの映画はロードムービーの前奏だったのかもしれない。
それはそうと、「敵」の渡辺儀助のように爺むさくならないためのアイデアの一つを見つけたような気がする。それは香りです。60歳以上の男性は加齢臭と共に老いる。ここに最大限に気をつけて、良いパフュームでアクセントをつけることによって人生かなり変わってくるんじゃないかな。
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