「圧倒的な映像!衝撃と感動のドキュメンタリー」パトリックとクジラ 6000日の絆 ぎんぞうさんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的な映像!衝撃と感動のドキュメンタリー
衝撃の映画だった。
水中カメラマン・パトリックと2頭のマッコウクジラ(ドローレスとキャンオープナー)の交流のドキュメンタリー。
まずはその驚異的な映像に圧倒されるのだが見ているうちにパトリックと自分がシンクロしてまるで海の中にいるような感覚に取り込まれる。もう完全に映画の中に入り込んでしまうのだ。(私はイルカ・クジラのガイドを仕事にしています)
パトリック自身ももちろん撮影しているのだが、パトリックとクジラを見事なアングルで撮影しているもう1人のカメラマンの存在も忘れてはならない。もう一人の水中撮影はゲイル・ジェンキンソン(女性) 映画の中にもちょっと出てくるが30年以上のキャリアを持つベテラン水中カメラマン。この映像は本当に素晴らしい。
ドキュメンタリーというのは往々にしてディレクターの意図に合うように映像がつなぎ合わされると言う手法が取られるのだけれどどうやらこの映画はそうはいかなかったらしい。マークフレッチャー監督によると途中からクジラが監督を始めて演出をされてしまったのだそう。つまりクジラが何か伝えたいことがあってそれに映画全体が引っ張られて行ったそうなのだ。
パトリックが20年以上にわたって目指してきたのはクジラとのコミュニケーション。その中で1番大切なのは信頼である。途中で彼がドローレスとの信頼関係を失ってしまったと思って落ち込む場面があるんだがここは見ていて本当に辛い。そして最後、彼とキャンオープナーとの絆が描かれて幕を閉じる。まさにクジラによって演出されたラブストーリー。エンディングのドローレスとパトリックのダンスはまさに恋。感動的で美しいラストシーンだった。
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20〜30m向こうにいる親子イルカ。子供が遠くからまっしぐらに僕のほうに向かってきてぐるぐる遊び始める時がある。遊び終わるまでお母さんは近くで待っている。お母さんが僕を指名してくれたのだと思うことにしている。あいつは大丈夫だから行って遊んでおいでって。パトリックがベビーシッターを任されたように。もしそうだったら嬉しいよね。
とにかくクジラがデカすぎるのでスマホやテレビの画面には入りきらない。是非映画館でデカいクジラを見てください。
