「米社会状況を巧みに盛り込んだ趣向が興味深い」BAD GENIUS バッド・ジーニアス 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
米社会状況を巧みに盛り込んだ趣向が興味深い
タイ映画の米リメイク作。良質な原石に米映画界が飛びついたという見方もできる一方、出来上がった作品が娯楽作でありながら、現代アメリカの社会状況を映し出す鏡としても機能していることに驚かされる。脚本にはジュリアス・オナーが参加。となるとつい監督作『キャプテン・アメリカ』(25)を引き合いに出したくなるが、比べるべきはむしろその前の『ルース・エドガー』だ。現代アメリカの形を若者目線で見つめるかのようなその構造は『バッド・ジーニアス』でも踏襲されている。その上、本作ではアジア系ヒロインの移民としての立場があり、彼女をとことん利用しようと群がる吸血鬼のごとき特権階級の同級生たちの存在がある。また、誰かが決めた物差しやルールを破壊しようとする若者世代の渇望も見え隠れする。いずれにしても製作時の2024年よりも、トランプ政権下にある今の方が見応えは増す。重すぎず、軽すぎず。96分の気軽さで楽しめる一作。
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