劇場公開日 2025年11月14日

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「孤独と葛藤のブルース」スプリングスティーン 孤独のハイウェイ haruさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0 孤独と葛藤のブルース

2025年11月27日
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鑑賞方法:映画館

ブルース・スプリングスティーンの大ファンとして、80年代は『Born in the U.S.A.』をはじめ、彼の音楽が常に生活の中にあった。だからこそ、本作には強い期待があった。

本作は、成功の頂点に立ちながらも背負い続けた重圧、楽曲への強いこだわり、そして幼少期のトラウマに起因する精神的な葛藤を、かなり内省的に描いている。華やかなスター像よりも、「孤独な一人の人間」としてのスプリングスティーンに焦点を当てた作品だ。

スターの自伝的映画にありがちなように、音楽的成功やキャリアの軌跡よりも、内面の苦悩や精神的なドラマが物語の中心となっている点は好みが分かれるところだろう。

個人的には、楽曲が生まれた背景や成功へと駆け上がっていく過程、そして熱いライブシーンをもっと体感したかった。その分、作品世界に入り込みきれず、残念だった。

一方で、スプリングスティーンを「ロックの象徴」としてではなく、「葛藤を抱えながら表現し続けた人間」として知りたい人にとっては、静かに心に残る一本だと思う。

haru