劇場公開日 2025年11月14日

「スプリングスティーンの自伝を借りた、父と息子の物語」スプリングスティーン 孤独のハイウェイ sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 スプリングスティーンの自伝を借りた、父と息子の物語

2025年11月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

誠実に、自分の内面と向き合う、表現者としてのスプリングスティーン。その一つの到達点であるアルバム「ネブラスカ」の制作を軸に、ストーリーは進んでいく。

Born to Runも、Hungry Heartも、Born in the U.S.Aもちゃんと出てくるが、メインはアコギとハーモニカで1人で録音したアルバム「ネブラスカ」。
なので、今作のスプリングスティーンは、高みにいるロックスターというよりも、アメリカの地方に生まれた1人のナイーブな青年という普遍的な存在だった。

観に行った劇場は、公開2週目で1日1回。しかも、上映スケジュールには木曜日で打ち切りとの文字も。
興行的には大苦戦なのかもしれないが、内容的には決して悪くないし、とてもリアルだった。

父と息子が互いにわかり合っていく物語という意味では、ジェレミー・アレン・ホワイト繋がりで、「アイアンクロー」と比較しながら考えてみるのもおもしろいかもしれない。

<ここから内容に触れます>

・エンドロールのメッセージをみて、今作は、スプリングスティーンの自伝を借りた、監督自身の「父と息子の物語」だったのかもと想像した。

・父に対するマイナスイメージを受け取らざるを得ないシーンから始まるが、それによって観客は、スプリングスティーンが、ふとテレビで観た連続殺人犯の映像作品をきっかけに創作をスタートさせる理由を一遍に理解できてしまう。
そんな映画的な演出が冴えていた。

・曲が少しずつ形になっていくにつれて、描かれる父との思い出も、少しずつ「おや?」と思わせるものに変化していく。だんだんと、父の行動の背景に目を向けさせる仕掛けも、自分にはしっかりはまった。

・加えて、スプリングスティーン自身の危うさについても、逃げずにきちんと浮き彫りにしているところがいい。
彼は希死念慮を抑えるのに、どれだけ苦労してきたことだろう。

・フェイとの関係は、うまくいってほしいと思って観ていたが、そうならないところがリアル。スプリングスティーンの抱えている、仮定の上にさらに仮定を積み重ねて不安になる症状は、私の身の回りでも色々見てきた。

・楽屋のシーンは沁みる。今年観た作品の中でも、屈指の名シーン。
「親ガチャ」などという言葉が飛び交う世の中だが、第三者が他人の親子関係をみて「親が悪い」とか「いや本人の自己責任」などと安易に断じることは厳に慎まなければならないと感じさせられた。

・ジェレミー・アレン・ホワイトは、「フォーチュンクッキー」でも記憶に残る演技をみせていたが、本当に感情表現が豊かな、いい役者だなぁと思った。

sow_miya
トミーさんのコメント
2025年11月25日

コメントありがとうございます。
狩人の夜は観てはいないんですが、ロバートミッチャムが両手の甲にLOVEとHATEの入墨を入れていたのが有名なビジュアルで、ミッチャム=サイコパス役が定着した作品らしいです。
お父さんが息子に観せる映画とは思えませんね。

トミー
トミーさんのコメント
2025年11月24日

共感ありがとうございます。
狩人の夜、お父さんどうなの?と思いますが、劇中のモチーフLOVE&HATEはぴったりですね。

トミー
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