「メイキング・オブ・ネブラスカ」スプリングスティーン 孤独のハイウェイ helio624さんの映画レビュー(感想・評価)
メイキング・オブ・ネブラスカ
睡魔が定期的に襲ってくる。
隣のお爺ちゃん、爆睡でした。むべなるかな。
ありがちな話ですが、予告編で映ってる盛り上がってるライブシーン、ほぼ「そこだけ」です。
そういうロックンロール讃歌映画ではなく、一言で表現すると「メイキング・オブ・ネブラスカ」。まぁ、暗い訳です。あのアルバムで表現されてる鬱屈と苛立ちの連続。
BOSSのキャラクター設定は鬱気質なだけで「良くも悪くも普通のいい人」なのでストーリーに山も谷もない。
見どころ満載の「ボヘミアンラプソディー」やら、「名もなき者(今でも傑作と思います)」と比べるとエンターテイメント性では天と地ほどの差があります。
悪い映画じゃないですよ。画像は綺麗だし再現度も高く俳優陣の熱演も良いです。
ただ、普通の人(彼の凄いところ、カリスマ性はほぼ出てこず普通のロックンローラーにしか見えない)のトラウマに延々付き合わされる2時間。
意地悪な言い方をすると、ディランの「名もなき者」がかなり当たったので、似たタイプのBOSSの伝記映画も当たるだろ?!的な狙いもあったように思います。その目論見と原作の再現が未消化のまま発表されてしまった結果、その荒さが目立ってしまい、極めて中途半端な印象になってしまった。
雑さというか、要らざる丁寧さがエンターテイメント作品としては大きなマイナスになったなと。
これも残念な映画によくありがちなんですが、しつこい位に同じような問題エピソードを繰り返すのに、その解決はやけにあっさりしていて、流れが良くない。
特に最後のシーンがあまりにも勿体無い。説明不足で彼や父親が何故苦しみから(一時的にせよ)解放されたのかが読み取りにくい。
僕なら、あの何度も繰り返される悩みのシーンをある程度カットしてでも、あのborn in the USAの爆発をもう少し丁寧に描いて、父親の鬱屈(退役軍人であろうこと、born〜のイメージであることが示唆されてる)もまるごと昇華したことまで描くでしょう。
そのカタルシスがあって初めてエンターテイメントとして成功したと言えると思うし(BOSSの心情から少し離れるとしても)安くはないチケット代を払って観に来た観客への礼儀と思いやりになると思います。
「だからBOSSは人々の心に寄り添いアメリカを代表する音楽家になったのだ」というまでの説得力はありませんでした。
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