劇場公開日 2025年11月14日

「長いレビューですみません。お時間がなければ一番下までスクロールしてください。」スプリングスティーン 孤独のハイウェイ TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 長いレビューですみません。お時間がなければ一番下までスクロールしてください。

2025年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

1971年生まれの私。中学に上がり、新しい友人の影響で洋楽を聴くようになった84年、大ヒットアルバム『Born in the U.S.A.』が発表され、更にその翌年にはUSA for AFRICAやSun Cityへの参加など、私にとってのブルース・スプリングスティーンは、その個性的な歌唱も伴って大変に印象に残るアーティストです。ところが、当時の私に“貸しレコード屋”及びそれをダビングするカセットテープに充てられる小遣いは限定的で、彼の音楽を聴きこむほどの余裕はありませんでした。むしろ、高校に上がるとバンドブームや“カラオケボックス”の普及で邦楽への揺り戻しが起こり、ブルース・スプリングスティーン“フォロワー”と言われる浜田省吾や尾崎豊の他、特に佐野元春には大変にハマったものです。ところが数年前、ラジオ番組で町山智浩さんが話すスプリングスティーンの歌詞解説で彼の音楽へ興味が再燃し、当時の楽曲を聴き直してみると「懐かしい」以上の感慨。そして最近また『Nebraska'82』についての西寺郷太さんの解説を聴けば、もう本作『スプリングスティーン 孤独のハイウェイ』を観ないわけにはいきません。(悪い癖で前置きが長すぎ)
『The River』を引っ提げたツアーが終わり空っぽのブルース(ジェレミー・アレン・ホワイト)。CBSはシングル『Hungry Heart』のヒットにイケイケ状態で新譜を急かしますが、ブルースの真の理解者でマネージャーのジョン・ランダウ(ジェレミー・ストロング)が防波堤となって守ります。ニュージャージーに戻ったブルースは地元ライブハウス・ザ・ストーン・ポニーでCats on a Smooth Surfaceに客演したり、そこで出会うフェイ(オデッサ・ヤング)とデートにまで至ったりとまだ見えない次に向かって“再充電”中。ところがある日の晩に何気なく観ていたテレビ番組に突然のインスパイアを得て、突如自宅の寝室にローファイの機材を運び入れ、サウンドエンジニア・マイク・バトラン(ポール・ウォルター・ハウザー)と共にその後“曰く付き”となるデモテープの制作に取り掛かります。
いやぁ、、、ブルース役のジェレミー・アレン・ホワイト、素晴らしいの一言。いわゆる“そっくり”とは異なりますが、特に歌唱はしっかりと特徴を捉え、太い低音からのしゃくりや不安になるギリギリの溜めなどは見事で、劇中にて沢山の楽曲が楽しめますが、特に、スタジオでの『Born in the U.S.A.』のレコーディングシーンは鳥肌物です。そして、何とも言えない彼の「笑った顔」にもメロメロ。体格や歌唱スタイルを見ただけではタフな印象なのに、実際の彼は非常にナイーブで繊細なタイプ。特に、ヒットが続いて周囲に「ビッグスター」と目されればされるほど、現実の自分との乖離を感じて思い悩むこの時期、ブルースの“不安定さ”を少ないセリフに対して微妙な表情の使い分けで表現するジェレミーに感情が揺さぶられます。そしてまた、そんなブルースを作り上げるのにこれ以上なく影響を及ぼした父・ダグを演じるスティーブン・グレアムが大変に恐ろしく、憎たらしく、それでもやはり息子に「父に認められたい」と思わせ続ける“絶対的な存在”として成り立っています。流石。。
存命中のアーティスト伝記映画として、その活動期間を総花的に語るダイジェスト形式ではなく、とあるターニングポイントを深く追求して語る手段は『名もなき者/A COMPLETE UNKNOW』にも通じ、前者よりもよりそのアーティストに対する興味や理解が深まります。
今回も『Nebraska'82: Expanded Edition』を聴きながらで、ツラツラと取り留めなく長いレビューになりすみませんでした。最後に大事なことを一言だけ、「いい映画でした」。

TWDera
バジュランギオジサンさんのコメント
2025年11月18日

おそらく同じラジオ番組がお好きかと思います。来週こそガチャ当たって欲しいです。

バジュランギオジサン
Mさんのコメント
2025年11月14日

いい映画でしたね!

M
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