劇場公開日 2025年11月14日

「心の声に寄り添う作品でした」スプリングスティーン 孤独のハイウェイ 藤宮・アーク・紗希さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 心の声に寄り添う作品でした

2025年11月14日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

癒される

ブルース・スプリングスティーンと聞くと、どうしても「ロックの英雄」みたいな大きな存在を思い浮かべてしまいます。でもこの映画は、そのイメージをふっと静かにほどくような、不思議な余韻のある内容でした。華やかなライブの裏側にある“孤独”にこれほど丁寧に寄り添った作品って、意外と少ない気がします。

特に印象に残ったのは、彼がたった一人でギターと録音機に向き合うシーン。音楽映画なのに派手な盛り上げ方をしないところが逆にリアルで、「あ、創作ってこういう静かな時間が積み重なってできていくんだ…」ってしみじみ感じてしまいました。『ネブラスカ』の誕生秘話をここまで深く描いた作品って珍しいですよね。

それから、主演のジェレミー・アレン・ホワイトの表情が本当に良かったです。強さと弱さが同時ににじんでいて、見ているこっちまで胸がギュッとなりました。父親との関係や心の傷に触れるエピソードも多くて、ただの成功物語じゃない“人間の物語”としての厚みがあります。

観終わったあと、ロック映画を見たというよりも、ひとりの人間が自分の声を取り戻していく過程をそっと見守ったような気持ちになりました。激しくはないけど、じんわり心に沁みる…そんな大人の音楽映画でした。

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藤宮・アーク・紗希
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