「Born In The U.S.A」スプリングスティーン 孤独のハイウェイ ブレミンガーさんの映画レビュー(感想・評価)
Born In The U.S.A
ブルース・スプリングスティーンの存在自体は知っていましたが、楽曲を聴いたことは無かったのでアルバムの「ネブラスカ」を聴いてから試写会にて鑑賞。
予告を数えるくらいしか観ていなかったので、完全に音楽伝記映画の系譜に則って作られていると思っていましたが、アルバムを作る過程でのブルースの苦悩や鬱に悩まされた日々の葛藤を余すことなく描いており、それ故にかなり重い内容かつ、共感できない場面がどうしても多くあってか、ライブシーンを観に行った自分にはあまり合わなかった作品でした。
序盤からアル中なのかなーって思える危うさを持つ父親との確執なんかが観られますが、そういう話なのか?と思って身構えてしまい、ボクシングの流れになったかと思いきやめっちゃ暴力振るわれたりとするので、父親への復讐とかがサブテーマにあるのかな?となったりもしましたが、そこも並行して進んでいくのでやはりかなり重いです。
レコーディングでのすったもんだはもちろん鬱の症状や音へのこだわりというのがあるのは分かるんですが、音の調整などをしているのはマネージャーやエンジニアたちであって、音の調整に参加していないブルースがキレ散らかしまくってるのはいくらなんでも甘えすぎじゃない?とは思ってしまいました。
宅録での擦れた音を音源に落とし込みたいだなんて贅沢を言っているのに、感謝の言葉も多くなく、ただただ狂っていくブルースの様子は申し訳ないのですがあまり気乗りしなかったです。
マネージャーのジョンの気苦労がとんでもなさそうで、こういう時のプロデューサーって嫌味ったらしく思えることも多いのですが、なぜか今作では共感してしまうくらいこだわりで周りを振り回しまくってるなーと思ってしまいました。
恋愛周りの話もモニョモニョしてんなーって感じで進み方がタラタラしていてときめかないですし、この辺りの話はバッサリカットしちゃっても良かったんじゃない?とどうしても思ってしまいました。
ジェレミー・アレン・ホワイトの歌唱シーンは最高でした。
初っ端のライブでの盛り上がりや「Born In The U.S.A」のレコーディングでの魂を削るような叫びに近い歌唱は圧巻で、これがライブハウスやアリーナ、屋外ライブなんかで聞けるのか!?とワクワクさせられました。
ライブシーンが多ければもっと楽しめたのになとは思いつつも、今作の根幹はそちらではないというところがもどかしいところです。
最終的にはトラウマも歌も一先ず乗り越えて舞台に立ち、父親の膝の上に乗って語り合うというハッピーエンドにはなるのですが、あの父親とはどうやっても打ち解けられないよ…となってしまい感動には辿り着けなかったです。
アルバム制作の過程の葛藤がメインなのもあって首を傾げるシーンが多かったのは確かですが、数少ない演奏シーンや役者陣の演技は素晴らしかったので、ファン向けに作られたんだろうなーという事で解釈しておきます。
鑑賞日 11/5
鑑賞時間 19:00〜21:00
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