「たとえその話が有名になりたい男と男の気を惹きたい女のピロートークだったとしても、人は自分の信じたい事しか信じない。」サタンがおまえを待っている かもしださんの映画レビュー(感想・評価)
たとえその話が有名になりたい男と男の気を惹きたい女のピロートークだったとしても、人は自分の信じたい事しか信じない。
イーサン・ホークとエマ・ワトソンが主演した「リグレッション」でも語った事ですが、1980年代の北米や一部の欧州で、大量の「悪魔崇拝者」がたくさんの幼児を虐待していたとマジで信じられておりました。
キリスト教にあまり縁のない日本人からすると信じられない事かもしれませんが、メディアのみならず、警察、FBI、司法関係者、果ては教会の神父や司教に至るまで社会全体がこの馬鹿馬鹿しい現象に耳を傾け、幼児に関係する事件を両親や保育園、更には無関係な人々を「悪魔崇拝者」に仕立て上げ.彼等を糾弾し続けたのです。
本作はそのキッカケを作った一冊の著書「ミッシェル・リメンバーズ」に関するドキュメンタリー映画となってます。
本を書いた精神科医と虐待を受けたと主張するミッシェルのカウンセリング中の音声は勿論、彼等のインタビュー映像、関係者による証言などを積み重ねて事の顛末を浮き彫りにしていきます。
その中で語られるのは耳をを塞ぎたくなる様な幼児への虐待の数々。
観ている我々にも「悪魔崇拝者」に対する嫌悪感が知らず知らずのうちに植え付けられていきます。
ところが…。
徐々に見えてくる本作の根幹がわかった時、この作品が「何故、今この話を持ち出したのか」がハッキリと理解できる筈です。
余談ですが、パンフレットには詳しい用語解説や当時の写真なども掲載されており、一読の価値ありです。
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