「予想の斜め上から。」ファイナル・デッドブラッド ミドレンジヤーさんの映画レビュー(感想・評価)
予想の斜め上から。
ホラーにはあまり接点の無かった私は、このシリーズも触れずに来たが、映画好きにはかなり評判が高いとのこと。
愛知県でも上映館が1館しかなく、上映回も1回。かなり悩んだが、念のためシリーズ1・2本目を予習して劇場へ向かった。
いやぁ!
面白いじゃん!
冒頭のタワーでのシーンがまず最高。
子供にも容赦しないのが気持ちいい。
で、主人公達のドラマが始まるが、それもいい。
言っちゃあ悪いが、主人公の女の子はそれほど魅力的という感じでもない。もしろ、周りの方がキャラクターは立ってる。
ホラーにありがちな、悪いヤツ・嫌なヤツから死んでいく、というセオリーはここにはない。
「この水がまたショートさせるのか?」「いや、この道路で横から?」「この尖った道具、怪しいぞ」
どれもこれもが主人公たちを狙っているように思えて目が離せない。
で、その危険な匂いのする様々が、真正面からヒットすることは少ない、かといって単なる「スカし」でもない。基本的にはちゃんと加害に機能するのだが、その加担の仕方がちょっと斜め上から、っていうのがたまらない。
グラスに入ったガラスの破片を「誰が飲むの?あの娘?お父さん?…いや、足かい!」とか。
「落ちてきて頭にグサ!」かと思ったら、「落ちてきて横からガス受けて後頭部からズドン!正面に血しぶきブシュ!」とか。
不謹慎だが、様々な形でバンバン命を落としていくキャラクターたちを観て、ワクワクしてしまう。
その「何も悪いことをしていないのに、ただ死んでいく人」の様子に、ワクワクしている自分がそこにいる。
その死に方も明らかなジョークが含まれているものもあって、「これ、笑っていいの?」と思いつつ、笑いを我慢できない。
あのピアスのお兄さんなんて、良いキャラクターだったのに、あの感じときたら…。
で、(1・2作目しか観てない私が比べるのも申し訳ないが)今回は「死生観」や「ドラマ性」も強くて、より映画としてのクオリティも高く感じた。
トニー・トッドの遺作になった、ということも、この作品と彼の演じたJBの語りに大きな意味を持たせたよね。
そしてお馴染み、ラストに待っている大事故。これも気持ちいい。
こういう、人間をダメにする映画、大好きです。
日本版のタイトルを聞いて、確かに血だらけのイメージを持っていたが、原題がエンドロールの最後に「BloodLines」と表示されるを見て、なるほどと膝を打つ。うまいね、どーも。
パンフレットが無いのが非常に惜しい。
