劇場公開日 2025年9月26日

「心の声が響くラブストーリー」君の声を聴かせて おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 心の声が響くラブストーリー

2025年9月30日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

幸せ

癒される

■ 作品情報
監督はチョ・ソンホ。主要キャストはホン・ギョン、ノ・ユンソ、キム・ミンジュ。脚本はナ・ジェウォン、クァク・キョンユンが担当。製作国は韓国。2009年の台湾映画「聴説(Hear Me)」の韓国リメイク作品。

■ ストーリー
大学を卒業したものの夢が見つからず、実家の弁当屋を手伝うヨンジュン(ホン・ギョン)は、配達先で手話を使って話すヨルム(ノ・ユンソ)に一目惚れする。大学で手話を学んだ経験を活かし、ヨンジュンはヨルムに近づこうと試みる。しかし、ヨルムは聴覚障がいをもつ妹ガウル(キム・ミンジュ)のオリンピック出場という夢を支えるため、自分のことを後回しにして日々を懸命に生きているのだった。登場人物たちのコミュニケーションの大部分が手話によって描かれ、言葉の壁を超え、心で通じ合うことの尊さが丁寧に紡がれていく。それぞれの抱える葛藤や、夢への情熱が交錯する中で、彼らの関係がどのように変化していくのかが見どころとなる。

■ 感想
登場人物たちの純度100%の優しさに心を温められます。特に主人公のヨンジュン、ヒロインのヨルム、そしてその妹のガウルが見せる、ひたむきなまでの優しさは、心に深く染みわたります。ヨンジュンが、一目惚れから真っ直ぐにアプローチする姿も、相手を思い身を引く決断も、彼の純粋な優しさや誠実さが伝わり、心から応援したくなります。また、妹を全力で支えるヨルムと、姉の期待を一身に受けて努力するガウルの姉妹愛も、胸を熱くさせるものがあります。互いを大切に思うがゆえに、知らず知らずのうちに自分自身を見失いかけている二人の姿は、切なくも深く共感を覚えます。

そんな三人の優しさの背景には、豊かな愛情とあふれる人間味で彼らを育て上げた両親の存在があります。親たちが子どもたちの成長を後押しする姿や、作中で語られる含蓄のある言葉の数々は、物語に深い奥行きと説得力を与えています。特にヨンジュンの父の「聞こえていても話が通じないやつが多い」という言葉は、現代社会にも通じる名言だと強く印象に残ります。

物語の導入部分は少々できすぎていると感じる部分もありますが、その後の展開は非常にスムーズで、終盤のサプライズも巧みです。恋愛、家族、人生といったテーマが絶妙なバランスでわかりやすく描かれており、見終わった時にはタイトルに込められたダブルミーニングに深く唸らされます。聴かせてほしかったのは、言葉としての「声」だけでなく、自身の人生をどう生きるのかという、心の底からの「声」だったのでしょう。

おじゃる
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