「杉咲の変幻自在で超絶的な演技が魅せる」ミーツ・ザ・ワールド 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)
杉咲の変幻自在で超絶的な演技が魅せる
歌舞伎町ではキャッチやヤクザも厄介だが、おそらく泥酔して路上に座り込む人ほど厄介な者はない。そんな状況に陥った由嘉里にライが「大丈夫?」と声をかける導入部から、肩肘張らずにスーッと馴染む語り口の巧さがある。いわば「不思議の国のアリス」のラビットホールに飛び込むように、これまでとは180度異なる世界に踏み出す主人公。でもそこに自分でも驚くほど居心地の良さを見出し、この街で交友を広げ、かと思うと、自分には到底理解しがたい価値観や死生観と向き合わなければならないジレンマも宿る。そんなけばけばしいネオンとは真逆の精神世界を垣間見せつつ、やはり最大の見どころは杉咲花の変幻自在の演技だろう。早口で自分の「好き」をまくし立てる超絶な台詞回しから、逆に無口になってじっとライを見入る表情といい、あらゆる瞬間を完全に自分のものとして掌握している。ゴールデン街で出会う蒼井と渋川も安心感のある色を添え、印象深い。
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