劇場公開日 2025年10月24日

「腐女子・ミート・A Girl」ミーツ・ザ・ワールド ジュン一さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0 腐女子・ミート・A Girl

2025年10月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

楽しい

幸せ

『由嘉里(杉咲花)』は筋金入りの「腐女子」だが、
自身の嗜好を母親も含め周囲には隠し暮らしている。

唯一自己を解放できるのは、
推し友との推し活中だけだ。

ある日、合コンののち、
歌舞伎町で泥酔しているところをキャバ嬢の『ライ(南琴奈)』に拾われ、
彼女のマンションで同居生活を始める。

初対面にもかかわらず、
何故か『ライ』には素の自分をさらけ出せる『由嘉里』。

そこにノリの良いホストの『アサヒ(板垣李光人)』も加わり、
今までよりも充実した日々が始まる。

ただ、『ライ』には時折見せる影が有り、
その理由を知った『由嘉里』は、
彼女を助けようと動き出すのだが・・・・。

『杉咲花』の「腐女子」っぷりが見事だ。

息継ぎをしているのか?と疑うほど、
速射砲のように言葉が唇から溢れ出す。

推しについての愛を語る時は勿論、
感情が昂った時も同様に口角泡を飛ばす演技の真骨頂。

周囲に対して己を抑えた口数の少ないシチュエーションと、
まりっきり正反対に豹変する。

観ていてほれぼれするほども、
もし身近に同一人物が居たらかなり引くかも。

が、ゴールデン街のバーのマスター『オシン(渋川清彦)』や
常連の作家『ユキ(蒼井優)』も
さも当たり前のように優しく彼女を受け入れる。

見目も悪くはないのに、
二十七年間、恋愛経験の無い自己肯定感の著しく低い主人公が、
今までは周囲に居なかったタイプの人々と触れ合うことで、
少しずつ変化する。

胸が激しく痛む挫折を味わいながらも、
タイトル通り、本人にとっての新たな世界が広がって行く。

二次元や2.5次元の対象には感情を込められるし、
同好の士とは共通の話題で盛り上がれる。

一方で周囲は同種ばかりとなり、世界は狭く
自他の境目は曖昧だ。

殻を破ることで、未知の人たちかかわりが生まれ、
相手を知ることもでき、なによりも自分が好きになれる。

始まりはひょんなことでも、
その後に新たな可能性を見い出すかは
あくまでも個々人の気の持ちよう次第なのだ。

ジュン一
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