生きがい IKIGAI

劇場公開日:2025年7月11日

解説・あらすじ

演出家の宮本亞門が30年ぶりにメガホンを取り、能登半島地震を経た人々の再生と希望を描いたショートフィルム。2024年元日に発生した能登半島地震で甚大な被害を受け、さらに8カ月後の豪雨によって2度目の災害に見舞われた能登で、ボランティア活動に参加した宮本が復興支援を目的に製作。作品の収益の一部は、能登復興のために寄付される。

石川県・能登の山奥。元教師で「黒鬼」と呼ばれていた山本信三は、土砂災害で家を失い、避難所にもなじめず、崩壊した自宅の一角で孤独に暮らしていた。ある日、彼のもとを被災地ボランティアの青年が訪れ、自宅の片づけを手伝ってくれることになった。しかしその青年が、信三の亡き妻の形見をうっかり捨てようとしたことで、激怒した信三は彼を追い出してしまう。だが後日、再び現れた青年は、自身もまた深い喪失を抱えていることを打ち明ける。その話を聞いた信三の心にも、次第に変化が芽生えていく。やがて信三は、被災して倒壊した家に閉じ込められていたときの体験を語り始める。

主演は石川県出身の鹿賀丈史。共演には常盤貴子、津田寛治、根岸季衣らが名を連ねる。本作のメイキング撮影から生まれたドキュメンタリー「能登の声 The Voice of NOTO」が併映される。

2025年製作/28分/日本
配給:スールキートス
劇場公開日:2025年7月11日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
宮本亞門
脚本
宮本亞門
企画
宮本亞門
プロデューサー
木幡久美
古賀俊輔
飛岡秀行
アソシエイトプロデューサー
脇坂郁恵
撮影
松本典朗
照明
宗賢次郎
照明(御陣乗太鼓)
加藤功
録音
鈴木健太郎
装飾
KEN
衣装
宮本まさ江
新井正人
ヘアメイク
高嵜光代
堀ちほ
編集
脇本一美
音楽
山下康介
音楽プロデューサー
田井モトヨシ
音響効果
浦川みさき
助監督
井川浩哉
制作担当
大川哲史
スチール
土屋久美子
メイキング協力
手塚旬子
谷茂岡稔
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(C)「生きがい/能登の声」フィルムパートナーズ

映画レビュー

4.5演技と真実と

2025年7月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
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共感した! 1件)
豆之介

5.0人が人に寄り添うということを教えてくれる作品です。

2025年7月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

(先行上映鑑賞です)

2024年元旦に起きた能登半島地震と、2024年9月に起きた奥能登豪雨の災害で実際に被害を受けた地で、2024年12月初旬オールロケで作られた作品です。

宮本亞門さんが、ボランティア活動をする中で、現地の方から「あなたのような有名な方は、ボランティアをしなくていい、この現状を少しでも広めてほしい」との言葉から決意し、30年ぶりにメガホンをとった作品となっています。

東京では、被災地での撮影に反対の声も多く中止となる可能性もあった中、公費解体が進む前のそこに生きていた風景をおさめるために、急ピッチで撮影が進められたとのことです。主人公の黒鬼の住む家も、実際に半壊認定となったお宅を使用しています。

フィクションですが、脚本は全て被災された方やボランティア活動に実際にあたる方の声を丁寧に集め作られているので、みせるための飾りは一切ありません。

孤独で生きることもあきらめつつあった主人公の黒鬼が、生存率が下がるギリギリの時間に助け出された時にしがみついた「命」。しかし命があるだけでは、人は生きてはいけないということを作品は伝えます。では何があれば、生きて行けるのか。何度も救いを求めようとしながら、絶望を繰り返す中、彼の時間を動かしたものは、劇的な何かではなく、寄り添いと関心の姿勢で、それはそれほど難しいことではないんだと気づくことができた作品です。

能登半島地震の被害は石川県にとどまりません。能登半島には富山県氷見市も含まれ大きな被害が出ています。また全国各地の被災地や、災害にとどまらず日常を生きるための辛さを抱えている方や、周りで支える方、普段何かできることはないのかと考える方にも、それぞれに受け取るメッセージがある作品となっています。

鹿賀丈史さんは、深い怒りと孤独を抱え、生きることに疲れ果てている黒鬼を見事なたたずまいで表現されていました。その黒鬼の唯一の理解者である妻美智子を、大らかな強さをもって包み込むような優しさで表現された常盤貴子さんは、今も能登を頻繁に訪れ支援を続けて下さっています。そして、活動の対象を「片づける物」ではなく「そこに生きている人」への共感、労り、関心をもって、黒鬼の時間を動かすボランティアの青年を演じた小林虎之介さん。宮本亞門さんが絶賛されていましたが、お芝居を超えた彼自身の感性が光る演技で、作品を支えていました。

「生きがい」は、28分というショートフィルムですが、地震発生から11カ月、豪雨発生から2カ月余りの被災地で、冬の天候、公費解体のスケジュールを考えると、これ以上の長さの作品を作ることは不可能でしょう。その限りある時間の中で、「私たちのことを知ってほしい、忘れないでほしい」という能登の方々の切実な願いと、それを受けた制作陣の熱い想いが結実した作品です。後半の「能登の声」は、ドキュメンタリーです。「能登の人は強い、優しい、みんな笑って迎えてくれる」しかし、その奥にある声を届けてくれる作品で、「生きがい」とともに、能登の今を伝える作品となっています。

御陣乗太鼓に始まり、御陣乗太鼓に終わるこの作品は、能登の方々の感情が全て詰まっているように感じました。ぜひ全国に上映がひろがることを願っています。

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共感した! 3件)
asara

4.0いい映画だけに短すぎるのが残念

2025年7月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

2025年劇場鑑賞196本目の1。
エンドロール後次の映画有り。
パンフレット無しにつきマイナス0.5。
全国公開でパンフレット販売されるなら点数戻します。

能登復興支援の一貫で宮本亜門が制作、脚本、監督を行い、金沢市出身の鹿賀丈史を主演に、根岸季衣、常盤貴子、津田寛治と、三十分もない映画の割にキャストは豪華です。
こういう地方映画を観る時、自分が必ず気にするのが現地の言葉を使っているかどうかなのですが、元々石川出身の鹿賀丈史はもちろん(それでも東京暮らしの方がだんとつに長いので忘れてそうですが)東京出身の根岸季衣が能登ことばを完璧に話していてさすがベテランは違うなと感心しました。金沢を舞台にした大河の一滴という映画で、金沢育ちの設定の人たちがみんな標準語を話す中、三國連太郎だけがちゃんと金沢弁を話していて、俳優の格の違いを見せつけられました。
ちなみに朝ドラの「まれ」で能登ロケをしてから、主演の土屋太鳳より能登に来てくれている常盤貴子の能登弁も綺麗でした。まれでは東京から能登に移住してきた設定だからそこまで能登弁の練習はしていなかったはずなのですが。
そして一番面白かったのが津田寛治で、一応能登弁を話そうとしているのですが、福井出身なのが災いしてか福井弁に結構引っ張られてしまって関西弁っぽいなまりになってしまっていました。

自分の高校の遠い先輩でもある鹿賀丈史ですが、クセのある、ちょっとニコニコしながら裏で悪いことする役が多いイメージでしたが、今作のような一言しゃべるだけで心に来るような演技が出来る方とは知らず驚きました。

話としてはとても良かったのですが、とにかく短く、もう少し「黒鬼」の話を見たかったなと思いました。

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ガゾーサ