「「実話」の強調が余計だった」死霊館 最後の儀式 泣き虫オヤジさんの映画レビュー(感想・評価)
「実話」の強調が余計だった
オカルト・ホラーものは特別好きではないのだが、アメリカで大ヒットしているという記事を目にしていたので興味を持った。
【物語】
1964年、身重のロレイン・ウォーレン(ヴェラ・ファーミガ)は自宅の地下室でただならぬ気配を感じる。 古い姿見鏡の前に立ったとき、「何かいる」と思った途端体に異変が生じて予定日の1か月前にも関わらず産気づく。夫のエド(パトリック・ウィルソン)が慌てて病院に連れて行くが、生まれた娘ジュディは息をしていなかった。しかし、しばらくすると奇跡的に産声を上げる。
その後ウォーレン夫妻は心霊研究家として様々な霊的現象に苦しむ人々を霊的呪縛から救うことを仕事とする。22年後夫妻は心霊研究を辞めることを決意し、娘ジュディ(ミア・トムリンソン)は両親の前で婚約していた頃、遠く離れたペンシルベニアのある家で度重なる霊的現象に苦しんでいた。
平凡な家庭だったその家は、あるとき骨董屋から姿見鏡を買って来てからおかしなことが起こるようになる。その姿見鏡は22年前にロレインに異常を引き起こした鏡だった。ウォーレン家と親しい神父がその家族の苦しみに心を痛めてその家を訪れた直後に謎の死を遂げたことをきっかけにジュディは導かれるようにその家を訪れる。
その話に関わるつもりが無かったウォーレン夫妻だったが、ジュディの身に危険を感じて婚約者トニー(ベン・ハーディ)と共にペンシルベニアに向かう。
【感想】
序盤はやや展開について行くのに苦戦。いきなり22年飛ぶし、「ウオーレン一家とペンシルべニアのコールダー家はどんな関係?」「登場人物が多い!」とやや戸惑った。本作が9作目となるシリーズだったことは観賞後に知って「だからか」と納得。シリーズファンなら22年の空白は無く、1986年のウオーレン家の描写は「ジュディはそんな歳になったのか」と感慨を持って観るのだろうし、コールダー家の方は「今回の舞台はここか」とスンナリ理解するのだろう。
新参者の俺でも、しばらくすると登場人物が整理出来て段々面白くなった。序盤から随所にちりばめられている「ドキドキ」、「ビクッ」の演出は上手い。シリーズ9作目のこなれた感じと言えば良いのか。中盤以降はホラー作品としてのスリルを十分に楽しむことができた。
「結構面白かったな」と満足感を覚えつつエンディングを迎えたのだが、最後に落とし穴が有った。
いよいよエンドロールに入るところで実際のウォーレン夫妻の写真が映し出される。実話ベース作品には良くあるやつだが、俺にとってはこれが余計だった。「これは実話である」的な説明が結構長く入る。冒頭にも“True Story”という文字を見た記憶はあるが、俺は“映画”の世界に没入して結構楽しんだのに、急に現実世界に引き戻された感じ。しかも、「実話」を強調されると、逆に「胡散臭い夫妻だな」という思いが沸々と湧いてしまい、急に白けた気分になり、余韻が吹っ飛んでしまった。せいぜい「この話はフィクションではない」的なテロップをさらりと入れるくらいにとどめて欲しかった。
それを除けば、「リアルか否か」は脇に置いて、娯楽として楽しめる作品だと思う。
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