君の顔では泣けないのレビュー・感想・評価
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二人の道
私は入れ替わり物が大好きです。切ない、とにかく切ないです。何でこんなにも、切ないのか。私にも、長年のことなので、わかりません。大林監督のも好きだけど、昔に見た観月ありさといしだ壱成の放課後が大好きでした。
私も女性だけど男性みたいな部分があり、それは皆さん、そうなのだと思いますが人には男性性も女性性も両方あると思うのです。私は昔から、「帰りたい」と願っています。しかし悲しいことに何に帰りたいのかが、自分にはわかりません。わからないのか、もはやその事も忘れたのか、とにかく私は私ではなく、私は私に帰りたいと願っています。だから、この手の話しは悲しくて悲しくて。胸が苦しくて苦しくて溜まりませんでした。ラストは、互いに戻ったのではないかと私は思いました。私も私に戻りたいです。
物語には関係ないかもしれないし、私が感じただけだけど心理的なショックからの解離性障害など離人症なども思い出しました。性同一性障害なども思い出しました。上戸彩が金八先生で演じた鶴本直のことも思い出しました。
何でこの、男女入れ替わり物はこんなにも、私の胸に響くのか。長年、この話が繰り返されるのは私たちにも、似たことが起こっているからなのかもしれない。私も私に帰りたいし、あなたもあなたに帰りたい。でも、それがいつになるのかは、私にもあなたにも、わからない。だけど、だから、人生は続くのだ。私は答えが見えないけどあなたに会えるまで私に戻れるまでそれ(人生を)楽しもうと思いました。何か、ポエムみたいになってすみません。あくまでもファンタジーな物語ですが現実的には、そんなことにも通ずるのかなと思いました。
入れ替わりモノでそのままというのが珍しい。
元に戻る方法なんて、二人で抱き合って神社の階段を転げ落ちれば良いのに…と思いながら見ていた私は“転校生”世代です😅
思春期の高校生が入れ替わっているのだから、2人の間には秘密の共有から来る恋愛感情めいたものが生まれるのでは?と思っていたが、この2人には全く当てはまらないのが面白い。
男(中は女)は高校生の間に童貞を捨てるというとんだヤリチン野郎だし、女(中は男)も自分のかつての親友と同窓会の夜に初体験するという倒錯した中にも“特に快感はなくて異物感のみ”という割り切った二人にはこちらがちょっと引くほど。
でも、二人が元に戻れるかもしれないという百年に一度のチャンスの日に、それは果たして正しいのか?自分たちのワガママではないか?周りの人たちの気持ちは?などなど、悩んで悩んで悩んで、最後はプールに飛び込む。
そして…翌日、微笑みあった場面から、暗転→エンドロール。
余韻もたっぷりで良かった。
観た人にアンケートを取りたいですね
男女入れ替わりの作品って、古くは「転校生」最近(とは言っても10年くらい前?)では「君の名は。」があり、どちらも映画史に燦然と輝く名作だと私は思います。
もっともこの「君の顔では泣けない」の劇中でも出てきましたが古くは平安時代後期の「とりかへばや物語」もあり、海外作品も含めて男女入れ替え物語って、いわゆる「古い」題材なのですが、この「君の顔では泣けない」は、15年以上に及ぶ入れ替わりとなっています。
この二人がこのまま付き合って結婚すればいいやん・・・と単純に思いますが、それではお話が成り立たないのでしょうね。またラスト・シーンは「プールに飛び込む瞬間」で終わってもいいと思いました。
で・・・観た人はどうなったと思います?
それこそこの二人は「どちらでもいい」と思いながらもプールに飛び込んだということはやはりもとに戻ることを期待したのかな?とも思います。
私は元に戻れなかったと思います。
新しい視点
恥ずかしながら原作を知らなかった私は、初めてKing & Princeの髙橋海人さんがこの映画に出ると聞いて、「入れ替わりモノ」と知った時に、もしかしてコメディ系?ちょっと心配…と思ってしまいました。
でもその後、ストーリーの詳細を知った時に、リアルさを追求するような内容だったので、今までにない新しい視点だなぁと、これはかなり重たい話になりそうだと感じました。
以下、印象に残ったところ
●喫茶店異邦人の店主 ふせえりさん
陸とまなみの2人が、はたから見たら意味不明な話をしているのですが、聞こえていても聞いていないような空気のような存在感でいてくれるのが、とても安心できていい味を出していたなぁと思った。
●とにかく陸とまなみを演じている4人とも、違和感なく本当に入れ替わっているのではないかと思わせてくれる演技力だった。(若い時のまなみ役の男の子は色白なのに、髙橋海人くんは色黒なのでそこだけちょっと違和感だったけどw大学生になって急に日サロ行った?って感じwでもそこを凌駕するくらいに演技力が素晴らしかった)
●まなみの実家に行って家族と食事をするシーン
もし中身が入れ替わってたら?と言われた両親が、ちょっと気持ち悪いかも?というニュアンスのことを言っていて、本当のことは言えないって思っただろうなぁ、2人ともショックだよなぁと思った。
もし自分の子供が同じようになったら、自分はなんて言ってあげられるだろう?と考えてしまった。
どうにもできないけど、何かあった時には素直に伝えてくれるような関係性を築いていたいなと思った。
●若い時の陸が自分の実家に行った時に、母親から冷たくされて、父親からもあまり来ないほうがいいと言われ、ショックを受けて帰る時に、外に出た途端に鍵をガチャっと閉められて、その時の何とも言えない表情がめちゃくちゃ悲しかった。父親が亡くなった後にもう一度まなみと実家に行き(ここでタイトルの台詞が放たれる)、口論になってしまい喧嘩別れした時も、同じように鍵をガチャっと閉められ、あの時と同じだ…とまた陸の表情を見て悲しくなった。
父親が亡くなっても自分は堂々と泣くこともできなくて、自分の居場所がどこにもないような感覚になっているのに、気持ちを理解してくれるはずのまなみとも喧嘩をしてしまい、すごく孤独を感じたと思う。
●まなみが元に戻る方法がわかったかもしれないと陸に伝えて、戻りたいか戻りたくないか気持ちを伝え合うシーン
絶対に元に戻りたいまなみと、今が幸せだから戻りたくない陸。まなみはそれまで陸としていろんなことをそつなくこなして来たように思えるが、心の中ではたくさんの葛藤があり、やはり本来の自分に戻りたい気持ちが強かったんだろうなぁ。素直に泣きながら感情をさらけ出すシーンが印象的だった。
●まなみが同僚(セフレ?)に過去の自分の話をするシーン
そんなことまで言っちゃって大丈夫なの?って心配したけど、隣見たら同僚寝てたε-(´∀`;)ホッ
でも、いつもお互いの家族ともうまくやっていて、明るく振舞ってたまなみだけど、やっぱり不安や悩みや葛藤がたくさんあったんだろうなぁと思わせるシーンだった。
●入院中の陸からの電話で久しぶりに話すシーン
妊娠中に切迫早産で入院し、経過が良くなく生死を意識するうちに、死ぬのが怖いという感情だけでなく、まなみの体を自分が殺してしまうことになるという申し訳なさを感じて、この気持ちを唯一理解してくれるであろうまなみに素直な気持ちを吐露する。(ここで今度は逆に陸からまなみへタイトルの台詞を放つ)
また話せる関係に戻ってよかった(涙
●とにかく陸の旦那さんはめちゃくちゃいい人
ずっといい人だった旦那さん。それまで何もうまくいかなかった陸にとって、ほんとに安心できる居場所になってくれてたと思う。本当のことは言えないけど、何かを悟ってくれているような旦那さん。
元に戻るかどうかの選択を迫られている陸にかけた言葉。あれがすごく心強かっただろうなぁ。それで何かが吹っ切れて、運を天に任せようと思えたのかな。
●ラストシーン
私的には異邦人で(体が)陸がいつも通り右側に座っているのを見て、戻らなかったんだろうなぁと思いました。でも、その後の2人の仕草で、わからなくなりました笑
恐らく、敢えてどちらとも取れるようにしたのではないかなぁと思います。
その後の2人の人生を、観た人それぞれが想像できるように。
とにかく、俳優陣の演技が素晴らしく、ずっと惹き込まれる映画だったなぁと思います。
推しが出ているとか関係なく、近年で一番素敵な映画でした。
原作を読み終わったらまた違う感情が出てくるような気がするので、読了してからまた観に行きたいと思います。
舞台挨拶中継を見て、坂下監督が芳根京子さんと髙橋海人さんのことをキャスティングした理由に、それぞれ好きな作品があると仰っていて、過去の作品が未来に繋がっているのをとても嬉しく思いました。
坂下監督が原作の君嶋彼方さんの伝えたいことをかなり汲み取って再現されていたそうなので、原作者も納得の出来に仕上がったようです。
たくさんの方に観てほしい作品です!
単なるスイッチものではない望外の奥深さに感嘆!
原作未読だが、
芳根京子が坂平陸(男性)、髙橋海斗が水村まなみ(女性)を、
性別が逆転した役を見事に演じ切っており、このふたりでなければここまでのクオリティは
担保できなかったと思われる。脇は特に田崎淳一を演じた中沢元紀の演技が秀逸である。
これまでのスイッチものだと、男女のタブーには触れていなかったように思う
(少なくとも私が鑑賞した作品では)が、
本作は性的なところにもちゃんと触れている。
加えて、スイッチした後のそれぞれの家族との関わりや想い・感情など、
ちゃんと生活に根ざした課題に触れているところが、
実に主人公ふたりに真摯に向かい合った作品だと感じた。
私だったら発狂してまともには生きていけない気がする。
それを乗り越えてスイッチした後でも、葛藤と戦いながらも
前向きに生きていこうとするふたりに元気をもらった。
ラストは戻れたのか?戻れなかったのか?観客に委ねられている。
私はどちらにでもとれると感じた。
いつもの喫茶店で同じ席に先に座り待つ水村(髙橋海斗)、遅れてくる坂平(芳根京子)が
今までも同じだから元のままでは?
一方で、いつも柄物の服を着ていた水村が真っ白なシャツを着ているのが、
坂平の好みなのでは?&佇まいが男性っぽいので元に戻ったのでは・・・とも取れる。
こうやってエンディング後を想像するのが余韻がたなびく映画の特徴であり、
本作は望外に深い作品であった。
演技がすばらしい
正直TSFが好きなので、小説も読み、映画館に足を運びました。主演の2人はもちろん、学生時代の役の若手俳優さん2人も非常によかったです。最初の冒頭だけ結構端折ってはいましたが、時間もないししょうがないかなと。結構小説に忠実な内容でした。最後2人は元に戻ったのか、TSFファンとしては戻ってないことを祈ります笑
タイトルなし(ネタバレ)
昨日、映画館で観てきました。
原作も読んでいたので、どんなふうに描かれるのか楽しみにしていました。
特に印象に残ったのは、リクの父親のお葬式の後、実家のアパートで二人が向き合うシーンです。
リクとまなみが、これまで抑えてきた感情をぶつけ合うものの、お互いの思いを受け止めきれない姿が痛いほど伝わってきました。
芳根京子さんも髙橋海人くんも、なかなか表に出せない感情を繊細に表現していて、胸に迫るものがありました。
【今作は15歳の夏に身体が入れ替わった男女の、その後15年の毀誉褒貶を時系列を行き来しつつ描いた作品であり、『転校生』令和バージョンでもある。ラストの解釈は観る側に委ねられるが、私は<以下、自粛>】
■高校1年生の坂平陸(入れ替わり後&成人:芳根京子)は、水泳の授業でプールサイドにいた時に、隣にいた水村まなみ(入れ替わり後&成人:高橋陸)と一緒にプールに落ちる。
そして、二人の身体は入れ替わっていた。二人は互いを演じ抜くために、ノートを交換し合い、家族や友人、部活などの情報交換をするのであった。
◆感想<Caution!内容に触れています。&凄くレビューが書きずらいぞ!>
・冒頭、30と言う数字がテロップで出た後に、坂平と水村が喫茶店「異邦人」の窓際の席に慣れた感じで相対して座り、会話を交わす。店内には店長と思しき女性(ふせえり)が働いているのみである。
・その後、入れ替わり直後の高校生の二人が、同じ喫茶店の窓際の席に座り、困惑しつつ対応策を考えていく姿が、ノスタルジック感も有り良い。そして、二人は新しい家族の下に帰って行くのである。
・坂平陸の家は、アパートで母(片岡礼子)と父(山中崇)と弟がいるが、母は何処か素っ気ない。父は訪ねてきた水村に声を掛けるが、”察してね。”と言いもう来ないでくれと言うのである。
・一方、水村まなみの家は真新しい一軒家で、父(赤堀雅秋:最近、良く見る)も母(大塚寧々)も嬉しそうに、訪ねてきた坂平陸に食事を出すのである。対照的な二家族だが、その違いがその後、発展して行かない。但し、坂平の父は亡くなるのだが、葬儀に来た坂平(水村まなみ)は、父の顔を忘れていた事に驚くのである。年月とはそういうモノなのであろうか・・。
■可笑しかったのは、坂平と水村が二人だけで会う時には、夫々”アタシ””俺”と言う所である。特に、個人的に芳根京子さんが、”俺”と言うのが新鮮である。
あとは、水村の髪型が映る度に変わる点かな。ヘアメイクさん、大変だったろうな、と勝手に思う。
・水村は自分を想っていた高校の同級生と、同窓会の後に初めて寝るが、その感想を坂平に聞かれた時に、”違和感が凄かった。”と言う台詞も笑える。分かんないよなあ、男には。そんな坂平が速攻で童貞喪失をしているのも、可笑しい。女性の方が積極的って事かな、クスクス。彼は成人して就職後もセフレ(石川瑠華)が居るしなあ。
・水村はその後、ある男(前原滉)と結婚し、妊娠し、娘も出来るのである。一方、坂平は独身貴族生活を送っているのである。
・だが、二人は昔に決めた7月の第三週の土曜日に毎年会い続けるのである。そして、到頭二人は入れ替わったプールに行き、同時に飛び込むのである。
シーンは、その後のいつもの喫茶店で相対して座る二人が映されるのである。
さあ、二人は元に戻ったのであろうか!
これは観た人の判断なので、私の推測は書かない。だが、坂平のそれまでの服装と比べると・・<以下、自粛>
<今作は15歳の夏に身体が入れ替わった男女の、その後15年の毀誉褒貶を時系列を行き来しつつ描いた作品であり『転校生』令和バージョンでもある。>
人は何かしら嘘をついて生きている
今作はいきなり体が入れ替わってしまった悲劇から始まります。生をうけて15年、そして入れ替わってから15年という同年を生きた二人それぞれの想い、やっぱり高校生という思春期の頃に経験した出来事と性自認は、小中学生の頃に比べると重さが違うと思う。
自分の体じゃないから雑に扱った側と自分の体じゃないから丁寧に扱う側は秩序で、まなみが陸の体で色んな人と関係をもっていることに疑問に感じていました。でも心のうちに憎しみがあったと知って、なるほどなぁと納得。感情の機敏は人それぞれで、私自身けっこう見た目で判断したり、こういう感情をもつだろうと思い込みの部分もあったりして、ハッとしました。二人の関係が同じ痛みを知る者同士という共通点があり、それがラブストーリーに変化しなくてよかった。互いに不安や怒り、そしてなにより優しさという思い遣りもあって鑑賞直後よりも1日たった今の方がじわじわ染みてくる。エンタメのように派手さはないけど、言葉や二人の距離、そして手放さぜるおえなかった家族との関係がドキュメンタリーを見ているようリアルに感じました。ファンタジーじゃなくてもジェンダー的に今に通じるものがあるし、日頃から本当の自分を隠して嘘をつきながら人と接して生きている人は多いと思う。
そしてなんといっても芳根京子ちゃんと髙橋海人くんの演者さんが素晴らしい。二人の喧嘩のシーンが一番印象的。あとタイトル回収部分も良い。ただ、好みかと言われると思っていたほど泣くこともなく気持ち的に凪いでいたので予告編以上の意外性はあまりなかったかな。
タイミングよく公開初日の舞台挨拶LVを鑑賞することができました。ネタバレOKトークだったので色々聞けて嬉しかったです。ラストのプール飛び込み直前のシーンが雷のせいで何テイクもする羽目になったとのこと。二人のやりとりが微笑ましかった。芳根京子ちゃんの質問への答えは『ラストは戻れなかった』に一票かな。その理由もあるけど、ネタバレレビューはここまでにします。
レビュー&舞台挨拶レポ:二人は戻れたのか?
はじめて舞台挨拶中継付きの映画を鑑賞した。今回は全国204館同時中継で、上映後にキャスト(芳根京子、髙橋海人、林裕太)が登場し、ざっくばらんな裏話を披露してくれた。その内容も一部交えて紹介する。
〇感想
個人的な趣味嗜好ではあるが、やや苦手なジャンルだった。入れ替わりを題材にした映画は数多く、大林宣彦監督の『転校生』、アニメ『君の名は。』、海外では『フェイス/オフ』、変化球としては『大逆転』などがある。また、主演の芳根京子さんは既に『累 かさね』でキスするたびに土屋太鳳さんと顔が入れ替わる役を演じている。
しかし、『君の顔では泣けない』はこれまでの作品とは趣が異なる。15歳の男女が入れ替わったまま“戻ることなく”人生を受け入れていくという設定に焦点が当てられている点だ。
特に、身体の外見と内面の性が一致しない状態で、高校卒業から就職、恋愛、結婚、出産、親との別れに至るまで、人生の重大な転機を経験していく。その中でも恋愛、結婚、出産は想像するだけでも相当な試練である。自分だったら一生独身を貫きたいほどで、見た目が女性になった自分に男性が迫ってくると思うと正直ゾッとする。だからこそ、このテーマに真正面から挑んだ制作陣には感心する。
映画として見れば、まなみ(芳根京子)、陸(髙橋海人)の二人の演技力が光っていた。二人きりの場面では“元々の中身”が自然と滲み出る一方で、他人の前では“外見の人物”として振る舞わなければならない。この難しい役柄を見事に演じ分けていた。
また、陸の弟役・林裕太さんも出番は多くないものの、印象的なシーンが多く、今後が楽しみな俳優だ(『愚か者の身分』でも存在感を放っていた)。
〇舞台挨拶の裏話(以下ネタバレあり)
・ラストシーンの30歳の二人がプールに飛び込むシーンは、雷が鳴る悪天候で何度も中断したという。
・撮影後、体が冷え切ったため、用意されていた“お湯”に二人は飛び込んで温まったらしい。(一緒ではなく別々にww)
・15年間の回想シーンでは、無音なので監督に「何か話して」と言われ、陸役の髙橋海人さんがTレックスは肉食だから痛風だった……など恐竜や動物の豆知識を語っていたとのこと。
・芳根京子さんは客席に向けて「ラスト、二人は戻れたと思う?戻れなかったと思う?」と挙手でアンケートを取り、結果はほぼ半々。さらに「一人一人の感想を聞きたい!」と舞台から降りそうな勢いで話していた。
・芳根京子さんも林裕太さんも、林さんの演技、とくに陸の父の葬儀で思い出を語るシーンを絶賛していた。
・坂下雄一郎監督はシャイな性格で、芳根京子さんが代わりに「一度で理解しきれないところもあるので、二回三回と観てほしいです!」とフォローしていた。その姿に思わず「惚れてまうやろ~」。
〇まとめ
独特なテーマゆえ好みが分かれる映画だが、性差について真正面から描いた真摯な作品であり、入れ替わった男女を演じた二人の演技は見応えがある。
以上。
仮初の体で歩んだ人生の中で、芽生えたものの差異は、決定的な違いを生み出していた
2025.11.15 イオンシネマ京都桂川
2025年の日本映画(123分、 G)
原作は君嶋彼方の同名小説
15歳の時に体が入れ替わってしまった男女の15年を描いた青春映画
監督&脚本は坂下雄一郎
物語の舞台は、群馬県の高崎市
高崎南高等学校に通う坂下陸(西川愛梨、成人期:芳根京子)と水村まなみ(武市尚士、成人期:髙橋海人)は、ある日プールに落ちたことによって、体が入れ替わってしまっていた
それから15年間、元に戻ることはなく、二人は年に1回だけ同じ場所で会って、戻った時のために近況を伝え合っていた
15年目を迎えたその日、まなみは「戻る方法がわかったかもしれない」と言い出す
聞けば、この地域には体の入れ替わりに関する古典が多く、それが起こる日にちは同じだという
半ば信じがたい話だったが、まなみは今日が終わるまでに考えてくれれば良いと言って、陸に猶予を与えた
15歳で体が入れ替わった後は、まなみは陸の体を使ってあっさりと体の関係を持ってしまう
その後は、相手を取っ替え引っ替えしていくことになり、結婚へと向かうことはなかった
陸の方は21歳の時にかつての親友だった田崎(中沢元紀、高校時代:窪田吏玖)と再会し、彼の誘いに乗って関係を持つことになった
その関係が続くことはなかったが、就職した後に同僚の蓮見涼(前原滉)と同棲を始め、結婚へと至っていた
さらに妊娠することになり、娘のまどか(白井希果)を授かることになった
30歳の再会は娘が3歳の時であり、家庭のこともあって、陸は戻ることを良しとは思わなかったのである
物語は、体の入れ替わり劇にありがちな「混乱のまま元に戻る」ということはなく、15年の歳月がお互いの意識と環境を変えていく様子が描かれていく
結婚、出産を経験した陸は家族を形成し、それは元々の家族との関わりも大きく関与しているのだろう
陸には弟の禄(林裕太、幼少期:酒井禅功)がいて、父・春樹(山中崇)、母・葉月(片岡礼子)との関係は悪くなかった
中身が入れ替わってからは少しギクシャクするようになっていたが、それでもまなみが波風を立てずにやってきたからだと思う
母はまなみの姿の陸に冷たく接していたが、このあたりの描写は少なめとなっている
おそらくはこの家族は家族意識というものが強く、貧乏な中でも連帯してきた故の絆というものがあったのだろう
そこに入ってきた異物という感覚があって、さらに様子が変わってしまった息子に影響を与えたのがまなみであると感じていたのかもしれない
一方のまなみの家族は、父・治(赤堀雅秋)、母・渚(大塚寧々)との関係は普通だったが、中身が陸に変わったことで関係が悪化していた
そこに至る描写も少ないものの、まなみを連れてくるたびに疎外感を感じていて、それが反抗期と相まって衝突が増えてきたからなのだろう
また、男っぽさみたいなものがあって、それが母と娘の衝突につながっていたように思えた
映画では、戻りたくない陸と戻りたいまなみが衝突することになるのだが、それはまなみの方が円満な生活を送れなかったことに起因している
だが、彼女があの時点で戻ったとしても、産んでもいない娘を愛せるのかとか、愛してもいない夫との生活を続けられるのかと言う問題が生じてくる
また、陸自身は戻ることで家庭を失い、その家庭が壊れる様子を外から見るしかなくなってしまう
中身のことがバレた時に夫はどのような反応を示すかもわからず、その閉塞感は死ぬまで続く
それを考えると、新しい体を受け入れて生きていくより方法はなく、15年の歳月はそれを受け入れるために必要な時間であったように思えた
いずれにせよ、性差における悩みを共有し合うことになるのだが、女性の体になった陸の方が辛いことが多かったと思う
それだけ、青春期から成人期、結婚と出産という流れはハードなもので、それを味わうことで覚悟というものが芽生えている
一方のまなみは、仮初の体のまま人生を歩んでいて、自覚を伴う行動というものはしていない
その差異が生まれてしまった15年は絶望的な価値観の差を生んでしまったと言えるのだろう
また、劇中でまなみは様々な恋人を作るのだが、その中に一人だけ本来の性で言う異性(男性)が混じっていた
それはこの性で生きていく中で本来の欲求の部分を試したのだと思うが、それはうまくいかなかったと言うことなのだと思う
だが、陸の方はそう言った方向に行くこともなく、女性として生きることへの抵抗感は少ないように見えている
これは、元々陸自身にその素養があったと言う可能性も捨てきれない部分があって、かつて親友だった同性と流れとは言え関係を持てたと言うのは大きなターニングポイントになっていると思う
そう言った意味では、若干ながらLGBTQ+の要素が混じっていたのかな、と感じた
ただの会話劇
見てきました。リアルな感じは悪くはないと思います。でも、1本の映画を見るという上では満足感は全く感じられませんでした。過去を振り返るのがメインで現在の時間軸はほとんど進みません。それがよいと言う人もいるかもしれませんが、壮大な物語を期待して見に行く人にはおすすめできません。それに内容が薄い。そもそもなぜ入れ替わったのか、最後は元に戻れたのかさえも分からないまま終わってしまいます(そこは鑑賞者の想像に委ねるおしゃれな当てつけなのかもしれませんが)。ただ映像美はよいです。女性の方も美しい方で目の保養になりますね︎^ ^
君のバディは私のバディ。
高1の時、プールに一緒に落ちた事で心と体が入れ替わってしまった坂平陸と水村まなみの話。
体が入れ替わり15年、入れ替わった時と同じ条件が揃う日に、いつもの「喫茶 異邦人」に坂平を呼び出した水村、“今日、元に戻れるかも”と言われた水村だったが…、15年経っても元の自分に戻りたいと思う水村と、過去の思い出と現在の状況、家族がいることで元に戻る事を躊躇う坂平だったが…過去と現在を行き来し見せてく。
とりあえず合間に入る数字がいまいち解りにくく、最初は“日にち”を表してるのかと思ったら、何歳の頃と後から解り…なので若干話に付いていけずで…。
正直ストーリーにハマれず、BGM無しのほぼ無音で.…zzZZ、眠気を堪えながら観たものの過去現在の描写を絡めながら戻る戻らないの論争を引っ張った割にラストがまさかの委ね系で(笑)
で原作は戻れたの?!
15歳の坂平役を演じた西川愛莉さん可愛くて将来有望!
あなたの顔では“泣くに、泣けない”現実が伝わり、切ない。
芳根京子と高橋海斗の繊細な演技力にハナマル🌼
とても演技力を必要とされ、試される映画でした。
高一の夏、同時にプールに落ちたまなみと陸は、
身体が入れ替わってしまう。
この映画が“入れ替わり“の映画としてかなり特殊なのは、
15年後の30歳になっても、そのまま入れ替わっている点。
15歳の坂平陸を西川愛莉が、成人してからは芳根京子が、
15歳の水村まなみを武市尚士が、成人してからは高橋海斗が
演じています。
【まあなんと言っても、喫茶店「異邦人」の時間ですね。】
一年に一度、7月の第三土曜日の昼間に2人は会う約束をして
実際にどこからでも駆けつけて、
まなみと陸が唯一本音で語り合い、現状報告して、
悩みを打ち明ける場所。
いつも話題になるのは、
【どうしたら元に戻れるか?】なのが、辛いけど
2人はかなり前向きだし、境遇を受け入れていて、強い。
いつも、じゃあ頑張ってと、ハイタッチで別れる。
喫茶店・異邦人が息抜きであり、ボヤキの場所なのであり、
陸であるまなみ、まなみである陸に還る空間。
芳根京子が自分を俺という自分に帰るし、
高橋海斗はオネエっぽい仕草が上手い。
★★そして映画は、もうとっかかりの冒頭で、
既に30歳になっています。
そしてアトランダムに回想シーンが現れる。
1歳〜15歳の自分と、
15歳〜30歳の自分を振り返っても、
急激に見た目も変わり、経験値も多くて、変遷したのは
15歳から30歳の方ですね。
私がかなり悲しくて響いたのは、
17歳の時かな?
陸の家にアポなしで訪ねた“あかねの外見の陸“
お母さん(片岡礼子)の素っ気なくも迷惑そうな様子。
殆どはっきり拒否されてしまう。
私なら泣いちゃうし、心が折れちゃうよ。
この映画は、そこんとこで、冷静に自己分析、
状況判断するのです。
そして節目節目があり、
27歳では、まなみの切迫流産の危機・・・
芳根京子が自分が死んだら、まなみの中の陸を《殺してしまう》と、
怯えるシーンは印象的。
自分の身体が自分のものであって、自分のもので無い、
そんな微妙な描写がすごいですね。
あとひとつ、
何歳だろ?
25歳くらいの時に、陸のお父さんが突然亡くなってしまう。
芳根京子にとっては実の父親が亡くなった・・・事になる。
《本当に“君の顔では泣けない“シーンが連発します》
このシーンで陸の弟役で、林裕太が出てきます。
このシーは、良くて、
喫煙をしにきた金髪・ピアスの林裕太が、父親の思い出話を、語るんだけど、
林裕太ってなんか良いんですよねー。
「愚か者の身分」を観てないと気が付かなかったかもしれないけど、
林裕太=スペシャル感あります。
滅多に降らない雪が積もって、兄の陸と一緒に雪だるまを作ったけど、
溶けるのが惜しくて冷凍庫に入れた。
お母さんにこっぴどく叱られた2人。
「翌日、冷蔵庫に何が入ってたと思いますか?」
そこでまなみが即答してしまう。
(実はお父さんが雪だるまの写真を撮って冷蔵庫に入れておいた・・・
(なんて優しい、そんなお父さんの顔を陸である芳根京子は、
(覚えていなかったのです・・・めっちゃ切ない)
林裕太は、不思議に思い、
「なぜ知ってるの?」って顔になります。
もちろん、「陸から聞いて知ってた」って答えるんだけど、
芳根京子はここででも泣かない。
泣けないのです。
本当に題名通り、
泣きたいシチュエーションを耐えて堪えて、
泣かない映画です。
微妙で繊細な描写に目を奪われ、
入れ替わっちった2人にホント切なくなる映画でした。
入れ替わり物語
は、ちょっと苦手な感じがしていたので観る予定ではなかったが、オフィシャルサイトみたりしてたら観たくなり鑑賞😀笑笑
芳根京子さん、高橋海人さん、15歳の陸とまなみを演じた2人、良い演技をしてました😎
難しい役なんやけどしっかり演じていて凄いなーと🥺
陸(芳根京子さん)が自分の家で母親に注意されるシーンとか、心が痛む感じで切なかった😭
本当に入れ替わったら自分ならどうするんやろうとか、陸とまなみの心情を考えながら観ました。
15年入れ替わってたらもう戻らないでええやろと思うけど、親や兄弟が他人になるのは耐えられないやろな笑笑
最後どうなるかは観客に委ねる感じでしたが、それがまた良かったかな。
とても楽しめたので良かったです😎
よくある入れ替わりものとは一線をかくす作品
入れ替わったまま15年の歳月を過ごすと人はどんな感情になるのか
もとに戻りたいと思うのか
色々感情を持ってかれる
髙橋海人さん芳根京子さんの演技が素晴らしく自然すぎて一気に映画の世界に違和感なく没入しました!
まなみ(髙橋海人)が心情を特に吐露する場面が2回あるけど 号泣しました
こんなに泣いたのは久しぶりでした
ぜひ色々な方に見てほしい
きっと自分の人生を考える大切な作品になると思う
良い作品でした。
髙橋海人くんが好きで、上映初日に観させてもらいました。
印象に残ったのは、陸の実の父親が亡くなったシーンでした。まなみ(髙橋海人さん)から連絡をもらい、葬儀に参列した陸(芳根京子さん)。
陸の「(まなみは)私の代わりに沢山泣いてくれたからね」の言葉。実の父親が亡くなった時でさえ、涙を流せない、家族と悲しみを共有出来ないところが複雑な気持ちになりました。まなみは定期的に家族に会えていましたが、陸は実の家族と全然会えていなかった為、「お父さんの顔を思い出せなかった」と話していたところが切ないです。
最後のシーンでは、2人とも笑って喫茶店で待ち合わせしていたので、戻れたのか戻れなかったのか不明ですが、人生を受け入れた笑顔だと思っています。2人に幸あれ‼️です。
芳根京子さん、髙橋海人さん名演技でした。素敵な作品をありがとうございました。また観ます。
真実へのプロローグ?
ふだん体入れ替わり系はくだらないので見ないんだけど
芳根京子主演なので……
バレないとイライラするよね
でも元に戻す方法がそれじゃない感満載だったので予想はできた
自分は入れ替わった経験がないので第三者目線で見てしまうんですが
言っても信じてもらえないけど
言わないのは卑怯だよ
絶対バレると思うし
特に家族なんか入れ替わる前の記憶がないんだから日々生活してるなかで不思議に思うことや違和感は多々あるはず
例えば家族旅行の話ししても覚えてないんでしょ
若年性認知症で病院送りやで
15年経った今なら本当のことを言ったらそれらの点がつながって伏線回収みたいになって信じてくれるよ
そもそも入れ替わったのがプールに落ちた次の朝ならプール関係ないやん
二人が入れ替わってるの知ってるやつがおるんちゃうか
弟が怪しいやろ
兄貴突然カマっぽくなってんのに
続編ないと納得いかんわ
あんなラストなら今年よくある
実はプールで溺死してましたって感じの
すべて幻ENDなら星5やったな
作り方次第では、外見と内面に関する問題提起やジェンダー批判ができたのではないだろうか?
男女の心が入れ替わるというシチュエーション自体に目新しさは感じないが、そのまま元に戻らなかった場合の「その後」を描くという発想は、斬新で面白いと思う。
ただし、男性の体になった女性が、早々に童貞を失ったり、何人もの女性と付き合ったりといった「性」に関するエピソードには、違和感を覚えざるを得なかった。いくら体が異性になったからといって、そんなに簡単に同性を好きになったり、セックスをしたりできるものだろうか?
女性の体になった男性が、同窓会の夜に初体験をする経緯も、比較的丹念に描かれるのだが、ここでも同じような違和感を覚えたし、それを嬉しそうに聞いている元女性の態度にも疑問を抱かざるを得なかった。いくら、相手が、よく知っている同級生だからといっても、自分の大切な体で、勝手にそんなことをされたら、普通の女性だったら怒るのではないだろうか?
こういうシチュエーションならば、「体」よりも「心」の方が重要だと考えられるので、無理して「身体的に異性(精神的には同性)」の相手と付き合うよりは、表向きは同性愛者として、「身体的に同性(精神的には異性)」の相手をパートナーとした方が、よほど自然な人間関係になったのではないかと思えてならない。
それから、こうした設定では「定番」とも言える、2人が入れ替わる前の描写がなかったので、入れ替わった後のキャラクターの変化が分からなかったり、男性が女性的になったり女性が男性的になったりすることの面白さがあまり感じられなかったことにも、物足りなさを感じてしまった。
その点、男性の父親の葬儀の後で、家族に真相を打ち明けるかどうかで2人が言い争う場面では、芳根京子の男っぽさが「それらしく」感じられて、最もすんなりと2人のやり取りを受け入れることができた。せっかく男女逆転を描くのであれば、こうした、内面が外見に溢れ出すようなシーンが、もっとあっても良かったのではないかと思えてならない。
終盤になって、女性の体になった男性が、男性と結婚して、出産までしていることが分かると、序盤で抱いていた「性」に関する違和感が、嫌悪感へと変わってしまい、生理的に受け付けることができなかった。
さらに、そのことで、元男性が、今の心と体のままで良いと考えていることか明らかになると、外見で「男」とか「女」とかを押し付けようとする世間の価値観に、内面を合わせることを肯定しているかのように感じられて、まったく共感することができなかった。
それどころか、元女性が、職場の同僚に打ち明けた心と体についての悩みは、性同一性障害の人が抱いている悩みと似通っているのでないかとも感じられて、内面を外見に合わせることよりも、内面を否定せずに「自分らしく」生きることこそが大切なのではないかと思えてならなかった。
こうした設定を活かせば、もしかしたら、外見と内面はどちらが大切なのかとか、「男らしさ」や「女らしさ」とは何なのかといった問題を提起したり、ジェンダーやルッキズムに対する批判を盛り込むことができたかもしれないのに、そうした姿勢が少しも感じられなかったのは、残念としか言いようがなかった。
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