「男気の芳根京子が見事だが、せつない。」君の顔では泣けない Mr.C.B.2さんの映画レビュー(感想・評価)
男気の芳根京子が見事だが、せつない。
2025.12.04(木)
「君の名は。」で男女の入れ替わりを観たのでTOHOシネマズ日比谷で「君の顔では泣けない」を。
もし知らない家で朝目覚めた時に異性に入れ替わっていたら、困るよなぁ。行った事のない家ではトイレの場所だって判らないんだもん。でも、映画ではそんな事は描かれない。
画面に出る30と言う数字。
いつもの喫茶店で待ち合わせる二人。
坂平陸と水村まなみは15歳の時に一緒に高校のプールに落ちた翌朝から体が入れ替わり、それ以来二人は相手になりきって人生を過ごして来た。15年間1度も戻った事はない。
いつか元に戻ると信じてお互いに連絡を取り合い、30才になった今でも年に一度は故郷の喫茶店で会っている。
陸の父親が死んでも、まなみの体では高校の同級生でお世話になったからと焼香するだけで、涙を流す訳にもいかない。他人なのだから「君の顔では泣けない」。
陸の体のまなみにまなみの体の陸は言う。「そんな情けない俺の顔で泣くなよな」
陸の体のまなみは、色々調べて元に戻る方法が判ったかも知れないと告げる。星回りから今日がその日なのだが、女として生きて結婚・出産もしたまなみの体の陸は、もう元に戻らなくてもいいと思う。
入れ替わり話は、だいたい元に戻るが本作は最後まで戻らない。
体が入れ替わったまま、二人とも15年を男として生き、15年を女として生きてきたのだ。色々な葛藤が心を過ぎる。
だから本作はコメディてはなくシリアスなドラマだ。男気の芳根京子が見事だが、せつない。今のまなみには夫も子供もいるのだから。
あなたは、人生の半分を男として、半分を女として生きたらどちらを選択するだろうか。
陸の体のまなみの戻りたいと言う思いに、考え直したまなみの体の陸は、一緒にプールに落ちる。二人は果たして元に戻ることが出来たのか?
ラストが気になったので有楽町駅前の書店で「君の顔では泣けない」の原作文庫本のラストを立ち読みした(プールに飛び込むところから)。なるほど。
観客に判断を委ねた映画のラストは、上手いところで終わっているな。
共感ありがとうございます!
私見なんですが、最近のオチを個々の観客に任せる作品が多いのは、製作委員会制になって製作費が削られる例が多いからだと思うのです。
製作費が削られてしまったら、あとは興行収益で利益を得るしかないので、鑑賞後の感想が盛り上がった方が良いんじゃないかという発想です。
製作人の中にテレビ局のドラマ担当関係者が含まれている事が多いので、元放送作家の自分にはプロデューサーの意向が反映しているとしか思えないのです。
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