「微妙に弾けない何かがある」君の顔では泣けない ONIさんの映画レビュー(感想・評価)
微妙に弾けない何かがある
意外にかなり低予算で撮ったのか? 美術関係がとても手薄に見えた。
原作は読んでみたかったが読んでない。まさに「転校生」その後、みたいなアイデアのものと踏んでいた。実際そんな感じなんだけど、丁寧に10代から30代まで時代をスイッチしながら紡いでいくが見ながらやはり、これならスイッチした時の物語設定当時をもう少し描いてもいいんじゃないかと思ったりはした。両方の家族と友人でドラマを作るのなら。
それも含めて原作もどうなのかわからないけど思いの外淡々と進む。その淡々ぶりが意外に効いてるかと言うとそう言うわけでもない。ひょっとしてこの設定は小説の方が描きやすいのかもしれない。入れ替わったリアリティを客観描写で紡いでいくのはかなり難しい。難しいというかそもそも映画は客観芸術なので、客観で攻めるならもっと客観のカメラで客観芝居で攻めるべきだし(そんなに切り返さなくとも、とか)内面を見せるならもっと見せるところ見せないところで制限をかけたほうがいいような気もする。微妙にオールマイティ過ぎる。
主演二人はお芝居はとても良かったが、それぞれの両親、親友、兄弟、など「あの設定のリアリティ」を描くのなら、もっとこちら側に色々想像させて欲しいものがある。逆に大林宣彦『転校生』のラストシーンにおける「さよならオレ、さよならあなた」の詩情とエモーションの昂まりは簡単に作り出せるものではないのだということはよくわかった。
しかし高橋海人は初めてしっかり見たのだけどこれは良かった。
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