「レビュー&舞台挨拶レポ:二人は戻れたのか?」君の顔では泣けない leoさんの映画レビュー(感想・評価)
レビュー&舞台挨拶レポ:二人は戻れたのか?
はじめて舞台挨拶中継付きの映画を鑑賞した。今回は全国204館同時中継で、上映後にキャスト(芳根京子、髙橋海人、林裕太)が登場し、ざっくばらんな裏話を披露してくれた。その内容も一部交えて紹介する。
〇感想
個人的な趣味嗜好ではあるが、やや苦手なジャンルだった。入れ替わりを題材にした映画は数多く、大林宣彦監督の『転校生』、アニメ『君の名は。』、海外では『フェイス/オフ』、変化球としては『大逆転』などがある。また、主演の芳根京子さんは既に『累 かさね』でキスするたびに土屋太鳳さんと顔が入れ替わる役を演じている。
しかし、『君の顔では泣けない』はこれまでの作品とは趣が異なる。15歳の男女が入れ替わったまま“戻ることなく”人生を受け入れていくという設定に焦点が当てられている点だ。
特に、身体の外見と内面の性が一致しない状態で、高校卒業から就職、恋愛、結婚、出産、親との別れに至るまで、人生の重大な転機を経験していく。その中でも恋愛、結婚、出産は想像するだけでも相当な試練である。自分だったら一生独身を貫きたいほどで、見た目が女性になった自分に男性が迫ってくると思うと正直ゾッとする。だからこそ、このテーマに真正面から挑んだ制作陣には感心する。
映画として見れば、まなみ(芳根京子)、陸(髙橋海人)の二人の演技力が光っていた。二人きりの場面では“元々の中身”が自然と滲み出る一方で、他人の前では“外見の人物”として振る舞わなければならない。この難しい役柄を見事に演じ分けていた。
また、陸の弟役・林裕太さんも出番は多くないものの、印象的なシーンが多く、今後が楽しみな俳優だ(『愚か者の身分』でも存在感を放っていた)。
〇舞台挨拶の裏話(以下ネタバレあり)
・ラストシーンの30歳の二人がプールに飛び込むシーンは、雷が鳴る悪天候で何度も中断したという。
・撮影後、体が冷え切ったため、用意されていた“お湯”に二人は飛び込んで温まったらしい。(一緒ではなく別々にww)
・15年間の回想シーンでは、無音なので監督に「何か話して」と言われ、陸役の髙橋海人さんがTレックスは肉食だから痛風だった……など恐竜や動物の豆知識を語っていたとのこと。
・芳根京子さんは客席に向けて「ラスト、二人は戻れたと思う?戻れなかったと思う?」と挙手でアンケートを取り、結果はほぼ半々。さらに「一人一人の感想を聞きたい!」と舞台から降りそうな勢いで話していた。
・芳根京子さんも林裕太さんも、林さんの演技、とくに陸の父の葬儀で思い出を語るシーンを絶賛していた。
・坂下雄一郎監督はシャイな性格で、芳根京子さんが代わりに「一度で理解しきれないところもあるので、二回三回と観てほしいです!」とフォローしていた。その姿に思わず「惚れてまうやろ~」。
〇まとめ
独特なテーマゆえ好みが分かれる映画だが、性差について真正面から描いた真摯な作品であり、入れ替わった男女を演じた二人の演技は見応えがある。
以上。
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