「好きな空気感の作品だが、一本の映画としては厳しい」アフター・ザ・クエイク よしてさんの映画レビュー(感想・評価)
好きな空気感の作品だが、一本の映画としては厳しい
4部構成からなる震災に絡むお話。
後から知ったのですが、NHKのドラマがベースとなっており、原作は村上春樹作品。
第1部は「いかにも村上春樹」的な作品。何かを喪失した男が、謎めいた都合のいい女性に会い、再び人生を取り戻す話。喪失した岡田将生もいいし、都合のいい唐田エリカさんの存在感はやはり素晴らしい。
第2部は地方の浜辺で焚火をするだけの話。では、あるのですが、阪神淡路大震災と東日本大震災を結び付ける話。鳴海唯さんが素敵でしたし、最近の枯れてきた堤真一さんは結構好きです。
第3部は新興宗教二世が自分の出自を疑う作品ですが……。一部キャラクターが受け付けなくて少し苦手です。
そして問題の第4部。
第3部まで多少の好き嫌いはあれど、空気感的には好きなんですよ。最近の作品は読まなくなりましたが、村上春樹はもともと好きでしたし。しかし、最後の最後にアレをそのまま映像化してしまうと、一本の映画としてはリアリティラインがぐんと下がってしまう。
テレビで4週にわたって一話ずつ見ているのなら、問題ないのですが、一つのスクリーンで連続してみていると違和感しかないんです。
しかも、これまでの3部を結び付けるようなセリフや描写がしっかりあるので、完全なオムニバスとしても処理しにくい。
いい感じで紡いできた話が、どうにも安っぽくなってしまい、ダメでした。
P.S. 見はらし世代の直後の本作を見たので、黒崎煌代さんや木竜麻生さん、井川遥さんを連続してみることができたのはよかったです。
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