「地震のあとで」アフター・ザ・クエイク akkie246さんの映画レビュー(感想・評価)
地震のあとで
『神の子どもたちはみな踊る』(かみのこどもたちはみなおどる)は、村上春樹の連作短編小説集。2000年2月に新潮社より刊行された。『新潮』に「地震のあとで」という副題付きで連載された、表題作『神の子どもたちはみな踊る』をはじめ5編の短編と、書き下ろし短編1編を収録する。2002年2月に新潮文庫として文庫化された。(Wikipediaより)
そして、この連作短編集の装丁に画家北脇昇の絵画が使われているように、村上春樹が北脇昇が描くやや抽象画風の風景からインスピレーションをを得て小説にしたとも取れなくもない。
そして本作も、ドキュメンタリータッチの部分とシュールレアリズムの部分が交錯してゆく構成になっている。(アメリカでの実写映画化、フランスでの漫画化、アニメ化があり、ついにNHKでシリーズドラマ化されたものを再編集したのだとか。)
大江崇光氏(「ドライブマイカー」)が書いた脚本が村上が描く幻想的な雰囲気を原作からさらに加速させていると、思った。
とくにシュールなホテルの廊下や、ある扉が、別の場所に繋がっているといった場面展開は、それを強く感じた。
本作を構成する四つの短編の主人公たちは、いずれも地震のあとで、家族及びそれに関連するなにかを失っている。
妻を失ったサラリーマン、妻と娘二人を失い故郷も失った画家の男と父を捨てたコンビニ店員、(地震の前だが)初めから父を失っている青年善也と、夫がいないその母。歌舞伎町のネットカフェで暮らす老齢の警備員(もと信用金庫の渉外担当)。
そして、地震の国日本では、いまも地震の前であり、ある夜に、かえるくんと共闘をした片桐さんのように地下にうごめく見えない巨大なみみずくんと想像力で闘う必要があるのかもしれない。
