コンスタンティン : 映画評論・批評
2005年4月15日更新
2005年4月16日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー
オカルト・ミステリーとフィルム・ノワールをミックス
ジョン・コンスタンティン。ジョンはヨハネの英名。そして、コンスタンティンは、東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルを建設し、キリスト教を最初に公認した皇帝コンスタンティヌスに由来する姓だ。
かといって「フロム・ヘル」のアラン・ムーアが生み、DC/バーティゴのグラフィック・ノベルで育ったこのキャラが、宗教まみれなわけではない。半ばアル中でヘビースモーカーのアンチ・ヒーロー。それに、天国も地獄も、パラレル・ワールドみたいに、この世と紙一重で並存し、神と悪魔が人の魂を取り合うゲームをしているという、この映画で示される構図は、むしろ新鮮で普遍性がある。
そんな世界のからくりを知り尽くし、利己的理由からエクソシスト探偵家業を続けるコンスタンティンが、妹の自殺の真相を探るロス市警の女性刑事に協力するうち、この世を破滅させる陰謀が進行中なのに気づく……。
アクション主導でオカルト・ミステリーとフィルム・ノワールをジャンル・ミックスさせたこの映画は、映像的にも軽みと渋さが融合し、DC/ワーナー作品では久々の全米ヒット。ただし、地獄絵図が旧弊から脱しておらず、不満を残したのが惜しまれる。
(高橋良平)